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【主張】コロナと外国人差別 ペナルティより支援策を

カテゴリー:新型コロナウイルス 社会新報 投稿日:2021-02-04

(社会新報2021年2月3日号3面より)

「在留資格取り消し」 
この言葉を目にした時、どれほどの外国人とその家族が、背筋の凍るような思いをしただろう。
昨年末、英国で新型コロナウイルスの変異種が発見されたことを受け日本政府は、1月14日から緊急事態宣言の解除まで、中国・韓国を含む11ヵ国・地域からのビジネス関係者の受け入れを一時停止することにした。これにあわせ、帰国する日本人や再入国する在留資格のある外国人に対しても、帰国後2週間の自宅隔離や公共交通機関の不使用などについて誓約を求めるだけでなく、それに違反すると名前や国籍を公表し、在留資格を取り消す場合があると発表した。韓国のように、自宅隔離を義務付けられた人に食品やマスクを無料で宅配するなどの支援策は一切示さないのに、ペナルティを課すことだけはすぐに思いつく。
コロナの感染拡大が止まらない中、一時的に入国を制限することは必要だろう。しかし、国籍公表によって特定の国・地域・人種の人々が差別される可能性は考えないのか。自宅隔離に応じなかった場合、なぜ外国人だけに「在留資格取り消し」という過度なペナルティを科すのだろうか。
これは日本に暮らす外国人とその家族にとって、最大級の「脅し」だ。他の全ての理不尽を受け入れても、それだけは勘弁してほしいとまでに思うのが、「在留資格の取り消し」なのだ。それをよく知った上で、いとも簡単に持ち出してくる政府の姿勢に、外国人を「犯罪者予備軍」として扱う排外主義の思想が集約されていると感じる。
ペナルティを前提にするよりも、2週間の隔離期間中の食事の調達、収入の減少、長期間の休みを理由に解雇される不安などにさいなまれない支援策を打ち出す方が、よほど感染予防には効果的ではないか。
東京五輪中のコロナ対策として、外国人観戦客向けにGPSで行動追跡ができる「健康管理アプリ」を開発中だと言う。平井デジタル改革相は、「使わないと入国させないというところまでやらないと効果がない」と発言。コロナ禍の中、GPSで全行動を常時管理されてまで五輪を見たいとやって来る外国人がどれだけいるだろう。「外国人は管理の対象」、日本の政治の端々にその思想が顔を表す。
ある外国籍の方は「在留資格取り消し」と聞いて、こう言った。
「どこに帰れと言うの? 僕の家は日本だよ」