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菅原前経産相の公選法違反疑惑

カテゴリー:倫理選挙 投稿日:2020-02-26

「贈答品」を配り歩く
「寄付の禁止」に抵触

メロン、ローヤルゼリー、カニ、イクラ…。

こうした贈答品を選挙区内の有権者に配ったことが暴露され、経済産業相を辞任に追い込まれた菅原一秀衆院議員の公職選挙法違反疑惑は、安倍政権の「政治とカネ」問題を象徴するものだ。

選挙区内の有権者に配った贈答品リストの存在に加え、選挙区内の斎場で香典を受付に渡す公設秘書の現場写真が週刊誌に報じられ、これが決定打となり、菅原経産相は2019年10月25日、大臣を辞任した。

公選法では、議員の名前が書かれた香典袋を秘書が代理で持参した場合、「寄附の禁止」規定に抵触する。議員本人が冠婚葬祭に出席することは認められているが、家族や秘書が議員の代わりに香典を渡せば50万円以下の罰金、最長5年間の公民権停止の罰則が適用され、当選も無効となる。

菅原経産相の辞任を受けて、任命権者である安倍首相は同日、「国民の皆さまに深くおわびを申し上げます」と謝罪した。

菅官房長官に近い

菅原議員は、1962年、東京都練馬区生まれ。大学卒業後、商社勤務を経て、91年に練馬区議に初当選。都議を経験し、2003年に衆院東京9区選出で初当選。現在、当選6期目。自民党国会対策委員会の筆頭副委員長、財務副大臣などを経て、19年9月の内閣改造で経済産業相として初入閣。無派閥で、菅官房長官に近い関係にあるといわれる。19年6月、当選5~6回の中堅議員を集めて、菅官房長官を招いた勉強会「令和の会」を発足させた。

16年2月、民主党(当時)衆院議員が国会で、「保育園落ちた 日本死ね」のブログ書き込みについて質問した際、菅原議員は「匿名だよ、匿名だよ」とやじを飛ばしたことでも知られる。

衆院議員に初当選した03年から17年間に菅原事務所を辞めた公設秘書は17人に上り、秘書へのパワハラ、賃金の不払い、運転手への暴行などが報じられた。

週刊誌が報じた贈答品リストはA4判7枚で、2006~07年のもの。贈呈先の安倍首相や菅官房長官ら政治家や選挙区内に居住する有権者など239人の実名と住所が記載されていた。

年200万の贈答品

盆暮れが近づくと、秘書たちはこのリストを元に一つ5000円程の高級メロンやイクラ、カニ、タラコ、スジコなどの贈答品を有権者に配り歩いた。それらの費用は年間200万円以上に及んだ。また、練馬区内の町会等の新年会は数百件に上るが、議員本人と秘書数人が手分けして回り、各団体に5000円の入った茶封筒を手渡した。この資金は、菅原氏が代表を務める「自由民主党東京都第九選挙区支部」の銀行口座から支出された。しかし収支報告書には記載せず、裏帳簿で処理していた。一連の行為が公選法が定める「寄附の禁止」に違反することは言うまでもない。

19年10月11日の衆院予算委員会で野党議員が239人の実名が記された贈答品リストの存在を指摘し、「菅原大臣の事務所で作成したものか」と追及したが、菅原氏は「確認しているところでございます」と逃げの答えに終始した。

だが、10月24日発売の週刊誌が、菅原議員の公設秘書が10月17日に選挙区内の葬儀で香典袋を受付に手渡した現場の写真を掲載し、とどめを刺した。

大臣辞任以来、菅原議員は同時期に大臣を辞任した河井克行法相と妻・案理参院議員と同様に公の場から雲隠れを続け、疑惑への説明責任を果たしてこなかった。今年1月20日召集の通常国会に登院した際、菅原氏は刑事告発されていることを理由に、疑惑への説明を避け、議員辞職や自民党離党を否定した。

社民党は昨年10月25日付の吉川幹事長談話の中で「閣僚を辞任しただけでは済まされない。公選法違反が明らかに事実であるならば、当然、国会議員についても辞職すべき」と厳しく指摘している。

(社会新報2020年2月26日号より)