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社民党給食プロジェクトチームが始動

カテゴリー:文部科学 投稿日:2020-02-26

有機農業の先進自治体を視察

社民党給食プロジェクトチームが始動

社民党の給食プロジェクトチーム(座長・福島みずほ副党首)はこのほど、全国に先駆けて学校給食のすべてに無農薬無化学肥料の有機米を取り入れた千葉県いすみ市や石川県羽咋市の先進的な取り組みを視察した。視察内容を踏まえ、党の政策づくりに生かす考えだ。

14日のいすみ市の視察には福島副党首、米田晴彦香川県議、地元の元吉栄一市議らが同行し、市役所、給食センター、有機農業の米・野菜生産者に現場の声を聞いた。

いすみ市(人口約3万8000人)は千葉県房総半島東部の太平洋側に位置し、農業(稲作)が中心のまち。今年も「住みたい田舎ランキング」で上位に選ばれるなど関東周辺からの移住者が最も多いまちだ。

2012年に稲作農家による「自然と共生する里づくり連絡協議会」が設立され、JA(農業協同組合)、県、市をメンバーに加え、市全域で環境保全型農業による地域活性化を目指してきた。13年に水稲無農薬栽培を手探りで始めた。1年目は草取りに追われたが、毎年、作付面積を徐々に増やし、17年に全小中学校に計2300人分の年間使用量42㌧(会員農家25人)を生産するまでになった。現在の生産量は約70㌧。以前は県外の米を買って給食にしていた。今ではブランド米「いすみっこ」として市内のJAや直売店でも人気商品となっている。

学校給食に有機野菜

太田洋いすみ市長は、給食を有機米にすることについて「最初はJAに反対されたが、子どもたちの健康が一番ということで議会も協力した」と当時を振り返った。またコウノトリが住めるまちづくりを目指したが「年間1億円のエサ代よりも教育予算を」と批判されて断念。しかし、「なぜか14年ごろからコウノトリが市内の田に飛来するようになった。奇跡だ」と目を細めて語った。

一昨年より学校給食に小松菜、タマネギ、大根、ニンジン、ナガネギなど7種類の有機野菜を使っている。行政が農家と連携し、安心安全な野菜作り、産直での販売などに協力する。給食センターの栄養士さんによると、子どもたちからは「給食が以前よりおいしくなった」「給食を残す子どもがいなくなった」という声を聞くとのこと。最も人気のある給食は地元産のタコを使った「タコカレー」だという。学校では自然環境と農業と食を一体的に扱う、有機米給食と連携した食農教育にも力を入れている。

後継者の問題が急務

食に対する安全・安心志向の高まりで、有機米は需要が多く供給が追いつかないのが現状だ。しかし農家の高齢化率は高い(16年に37・5%)。耕作放棄地は年々増え続けている。魅力ある農業、後継者づくりは大きな課題だ。

コメ農家の矢澤喜久雄さん(農事組合法人みねやの里代表)は「農業は危機的状況だ。あと5年経ったらこの地域でも農業をやれる人がいなくなる。農業が崩壊したら地域も衰退する。国は農業に対する危機感を持った対策をしてほしい」と強く求めた。福島副党首は「有機米の学校給食を全国に広めたい。食料自給率を高める農業政策に取り組んでいく」と応じた。

市農林課の鮫田晋さんは「人が足りない。もっと生産者の地域と行政をつなげる農林課の職員が増えれば、やれることはいっぱいある」と今後の農業を見据えていた。

自然栽培農家3倍に

福島副党首と石川県連議員団は10日、学校給食に地元の有機農産物を導入している羽咋市を視察した。羽咋市には日本で唯一、車で走ることができる全長約8㌔の砂浜があり、日本のベストビーチに輝く。世界農業遺産「能登の里山里海」にも指定されている。ローマ法王に献上されたことで有名な「神子原米」がブランド米として生産されている地域だ。

視察では山辺芳宣市長を表敬訪問。羽咋市は、2010年に「のと里山農業塾」を開催し、以降「JAはくい」と共同で環境保全型農業の普及に取り組み、市自然栽培新規就農支援事業を行なうなど自然栽培農業を推進している。説明によれば、現在、自然栽培農家は10年の3倍以上の37人となり、うち羽咋市へ移住し自然栽培農業者をする移住者農業従事者は13人。作付面積は水稲が約20ヘクタール、穀類が約10ヘクタール、野菜が約7ヘクタールとのこと。学校給食への提供は、10年度は小中学校のみに1回の実施だったものが、17年度より保育園等にも提供し、19年度では8回ほど米などの提供を行なっている。

今後の課題としては、学校給食の有機化への取り組みと同時に、自然栽培農家=農業従事者のへの所得補償も含めた支援策を国、地方自治体で強化・推進する農業政策を進めていくことが重要であるとの認識を深めた。

 【有機農業】自然農法ともいう。近代農業が科学肥料と農薬を用いて省力型農法によって推進されているのに対して、土壌中の有機物を栄養に作物を作る本来の農業のあり方を追求する。食品の安全性や環境との調和などから注目を集めている。

(社会新報2020年2月26日号より)