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カジノ廃止法案の可決を

カテゴリー:内閣法務 投稿日:2020-02-14

「秋元司」IR汚職事件は氷山の一角

カジノ廃止法案の可決を

(写真)IRの誘致に反対する集会「横浜にカジノはいらない女性たちよ手をつなごう」で司会を務めた福島副党首(左)=2019年9月14日、横浜市内。

2月3日、東京地検特捜部は、収賄容疑ですでに逮捕・起訴されている秋元司衆院議員(自民党離党)を追起訴した。安倍晋三政権が「成長戦略の柱」と位置付けるカジノを含む統合型リゾート(IR。メモ参照)の事業をめぐり、中国企業「500ドットコム」側から総額約760万円の賄賂を受け取った容疑。秋元氏は逮捕前、支援者らに「一切不正には関与しておりません」と記した手紙(写真)を送るなど、一貫して容疑事実を否認している。

だが12日、秋元被告は保釈された。

岩屋毅前防衛相ら4人の自民党衆院議員と日本維新の会(除名)の下地幹郎衆院議員も金銭を受け取ったものと見られたが、立件されなかった。

秋元議員は、「IR実施法」が成立した2018年7月の1年近く前から、IR担当の内閣府副大臣だった。政府・与党は、社民・立憲・共産など野党の反対を押し切り、同法案を強行採決した。

米国に屈する日本?

だがそれ以前から、米トランプ大統領が安倍首相に対し、「カジノ解禁」に向けて圧力をかけていた、との疑惑報道もある。

米調査報道サイト「プロパブリカ」は18年10月、次のような報道をした。

17年2月10日の夜、訪米中の安倍首相に対し、トランプ大統領はカジノ大手「ラスベガス・サンズ」の日本参入を強く働きかけた。同社会長のアデルソン氏は、トランプ氏への大口献金者だ。この日の朝食会で、安倍首相はアデルソン氏などカジノ事業者らと同席。同氏はこの前日、トランプ大統領らと夕食を共にしていた││。

社民党副党首の福島みずほ参院議員は、「プロパブリカ」の報道より前の18年7月、この問題に関して国会で安倍首相を追及している。今通常国会の参院予算委員会(1月29日)でも、福島議員は安倍首相に対し、この問題をさらに追及。だが、安倍首相は内実ある回答を避け続けている。

この「トランプ・安倍カジノ疑惑」からも分かるように、「500ドットコム」が関わるIR汚職疑惑は「氷山の一角」であり、さらに大きな政治がらみの不正や「不都合な真実」もあり得る。「トランプ大統領の圧力に屈する安倍首相」「その道具としてのカジノIR――こうした疑惑に対する説明責任が、安倍首相にはあるはずだ。

“改善策”というザル

安倍内閣は「500ドットコム」がらみの一連の汚職疑惑を受け、IR事業者と政府関係者の面会記録の作成・保存を義務づけるルールを作る方針を示した。

だが、安倍内閣はこれまで、森友・加計問題や自衛隊日報問題だけでなく、「桜を見る会」問題でも、民主主義の根幹をなす公文書を「隠す・捨てる・消す」など、国民の信頼を裏切り続けてきた。そうした内閣を「信じてくれ」と言われても、「面会ルール」等が守られているか否か、どのように検証するのか。

自治体と事業者の間でも、大きな問題がある。両者がIRの計画段階から協同する仕組みも影響し、汚職の可能性だけでなく、事業者側の「バラ色構想」流布の可能性も大きい。

後者の問題は、昨年8月に横浜市が発表した「IR誘致構想」に接すれば、一目瞭然だ。市と事業者にとって都合のいいデータばかりを選び、好きなように脚色する。「規制のない広告」と同類ではないか。

カネは投資家の懐へ

静岡大学の鳥畑与一教授(国際金融論)は、「世界的にカジノの利益率は低下している」として、「8~9割は日本人の懐(ふところ)狙いになる」と指摘する。市民から吸い上げられたカネは海外投資家の懐に入り、地域は衰退するという。

また、横浜市中区寿町で精神科の診療を続ける越智祥太医師は、ギャンブル依存症の人の割合が世界一高い日本でカジノ施設を新設することに対し、強い危機感を表わす。「依存症対策も同時に行なう」と政府や自治体側は言うが、越智医師は「まさにマッチポンプではないか」と批判する(両氏コメントは、本紙1月15日号の記事参照)。

世論の大勢はカジノに反対だ。朝日新聞社が1月25~26日に実施した全国電話世論調査によると、IRカジノを国内に造ることに、賛成が27%、反対が63%。

1月20日、社民・立憲・共産・国民民主など野党は、「カジノ廃止法案」を合同で衆議院に提出した。政府は、国民世論の声に真摯(しんし)に耳を傾けるべきだ。

  【カジノを含む統合型リゾート(IR)】
ギャンブル施設のカジノをはじめ、国際会議場やホテル、その他の商業施設が一体となった複合施設。
日本では、2016年12月にIR推進法(通称「カジノ解禁法」)が公布・施行され、18年7月にはIR実施法が公布された。当面、国内に最大3ヵ所設置される予定。
横浜・大阪・東京・長崎・和歌山などの自治体が、誘致に向けて活動を繰り広げている。

(社会新報2020年2月19日号より)