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安倍首相が代表の支部 「桜を見る会」ツアー旅費支出

カテゴリー:内閣法務 投稿日:2020-02-05

答弁の矛盾決定的に

内閣総理大臣が主催する行事「桜を見る会」に安倍晋三首相の後援会関係者が多数招待された疑惑をめぐり、安倍氏が代表を務める政治団体の支出に「桜を見る会」関連とみられる経費があることが判明した。「招待者のとりまとめなどには関与していない」という説明と矛盾する。

首相主催行事「桜を見る会」に先立ち、地元山口県の有権者に「あべ晋三事務所」名で「『桜を見る会』について(ご連絡)」と題するツアーの案内が配られた。会の前夜には東京のホテルニューオータニで、安倍氏の支持者に向けた懇親会「前夜祭」が開催された。

これらの収支が、一連の行事を主催した「安倍晋三後援会」(配川博之代表、下関市)の収支報告書に記載されていない点について、安倍首相は国会でこう答弁している。

「招待者のとりまとめなどには関与していない」(2019年11月8日の参院予算委)、「ホテル側から明細書等の発行はない」(12月2日、参院本会議)

安倍氏を支持する政治団体の関与はないということらしいが、安倍晋三後援会と同じ下関の住所に事務所を置く別の政治団体「自由民主党山口県第4選挙区支部」(安倍晋三代表)の収支報告を調査すると、この説明は疑わしい。

秘書らの出張旅費か

「第4支部」は、2015年6月18日付で旅行代理店「サンデン旅行」に対して89万710円の「旅費」を銀行振り込みで支出、その領収書のただし書き欄にこんな記述がある。

〈但し、2015/04/17~2015/04/18  旅費として〉

15年の「桜を見る会」は4月18日に開催された。その前日から当日にかけて旅行をした旅費という説明だ。念のために少額領収書(1万円以下)も調査すると、4月17日早朝、山口宇部空港から東京に向かい、翌日の夕方に下関に戻ったことを示す高速道路やタクシーの領収書が見つかった。

これらの事実を踏まえれば、約89万円の旅費が「桜を見る会」に関するものであることに疑いの余地はない。案内・接待役の秘書らが東京に出張した経費である可能性がある。

別の年についても、「桜を見る会」関連と思しき「サンデン旅行」への支出がある。13年約28万、14年約60万円、16年約101万円、17年約89万円、18年約95万円(いずれも銀行振り込み)。

少額領収書を調べると、どの年も「桜を見る会」の前日の日付で東京のタクシーを利用した痕跡があり、やはり「桜を見る会」のツアーに関する秘書らの旅費と考えるのが自然だ。

私物化の実態を隠す

それにしても、安倍事務所が企画したツアーや「前夜祭」の収支の全体を安倍晋三後援会の収支報告書に記載してないのは奇妙だ。

というのも、安倍晋三後援会は毎年数回、「新春の集い」や「後援会会合」を下関と長門で開催しているが、収支報告書には催し全体の収支が記載されている。すしなどの料理や酒を大量に提供、チアリーダーが演舞を披露するにぎやかな宴会の様子が分かる。貸し切りバスによる旅行もあり、費用は件のサンデン旅行に支払いがされている。

「前夜祭」も同様に報告すればよいのに、なぜか主催団体の安倍晋三後援会は報告していない。そして、経費の一部が「第4支部」に計上されている。「桜を見る会」の政治利用、私物化の実態を隠すために意図的に書かなかったのではないか。そう疑う余地がたぶんにある。不実記載は政治資金規正法違反である。

大量の“自前”領収書

政治とカネをめぐる安倍氏の説明責任のなさは「桜を見る会」だけではない。たとえば大量の自前領収書問題だ。「第4支部」の領収書の中に、事務所が自身で作成したと思われる同じ様式のものが、年間でざっと100枚以上もある。ただし書きは「会費として」というゴム印で、金額欄にも酷似したゴム印が押されている。神社が「発行」したものが多いが、事情なく受け取る側が領収書を用意し、内容まで書き込んでいるとすれば、もはや領収書の名に値しない。

衆院選に初当選する直前の1993年4月に発行された「あべ晋三後援会」の会報に、安倍氏はこんなことを書いている。

「政治資金の出入りは完全にガラス張りにしなければなりません」「(公的な政治資金制度の導入で)政治資金を提供することによる見返りの可能性をなくし、腐敗と訣別することが出来ると確信しております」

四半世紀前の自身の言葉を安倍氏は覚えているのか。

「前夜祭」の収支で偽装工作の可能性

■上脇教授がコメント

政治資金問題に詳しい神戸学院大学法学部教授の上脇博之さんは次の通りコメントした。

「桜を見る会」の「前夜祭」の収支が「安倍晋三後援会」の政治資金収支報告書に記載されていない問題につき、安倍首相は「収支は発生していない」ので問題ない旨答弁。しかし、安倍首相が支部長を務める「自民党山口県第4選挙区支部」の政治資金収支報告書には、「桜を見る会」と「前夜祭」の世話のために事務所スタッフが上京した時の旅費が掲載されています。この旅費支出は、本来であれば「安倍晋三後援会」の政治資金収支報告書に、一つの事業支出として他の関係支出(後援会員への案内状の郵送代等)と一緒にまとめて記載すべきです。

政党支部に掲載したのは、「前夜祭」の収支の不記載が発覚しないよう偽装工作したのでしょう。

(社会新報2020年2月5日号より)