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監視社会で「テロリスト」が作られる

カテゴリー:内閣法務 投稿日:2020-01-17

セキュリティの名の下に国民を抑圧

東京弁護士会シンポに100人

監視社会

昨年12月16日、東京弁護士会主催のシンポジウム「監視社会の問題点〜『テロリスト』が作られていく〜」が東京都千代田区で行なわれ、約100人が参加した。

東京外国語大学名誉教授の西谷修さん(フランス現代思想研究)が、基調講演を行なった。

西谷さんは、「テロリスト」という言葉について、「時の権力者が反対派に対して投げかける言葉であり、『だから殺せ』となりかねない」と語った。

「テロとの戦争」が口実

2001年の「9・11」直後、米大統領は「これはテロとの戦争だ」と言い、自国の攻撃をすべて正当化した。(米国などが)「テロとの戦争」と決めつけた時から「敵には当事者能力がない」とされ、「おまえらはもう存在しない」と認めるまで攻撃は続くという。

西谷さんは、この「9・11」から「17世紀以降の『国家間戦争』という概念が崩れた」と言う。米国とそれに連携する国家にとって国境は消え、「敵」はどこにいるか分からなくなる。

「国内にテロリストがいるかもしれない」ということが錦の御旗とされ、基本的人権が侵害され、監視体制化が進行していく。
西谷さんは次のように語った。

「国民は潜在的な危険分子とされる。それが『テロとの戦争』だから。全てがセキュリティー(安全確保・安全保障)の名の下に、国家の最重要事項が決められていく。今日の日本でも、法の制定や運用において、こうしたことが基本的な圧力になっている」

次に、フリージャーナリストの常岡浩介さんも加わり、パネルディスカッションが行なわれた。弁護士の清水勉さんがコーディネーターを務めた。

権力が恣意的に監視

常岡さんは14年10月、IS(イスラム国)の人質になった湯川遥菜さんの状況についての取材に出発する前日、警視庁公安部から家宅捜索を受けた。そのため、出国できず、湯川さんは殺害されてしまった。

常岡さんは「日本の中にISの現実の脅威があったわけではない。公安警察の頭の中では、私がその一つにされたのだろうが、全くの妄想だ」と述べた。

清水弁護士は、この件について、「常岡さんは公安警察の人たちに事情を説明したが、聞く耳を持たなかった。その結果、湯川さんは殺された。記者会見でこのことを話しても、日本のマスメディアは報道してくれなかった」と語った。

西谷さんは「権力が『テロリスト』あるいは『テロリストかもしれない人』というくくりに入れれば、(恣意的に)つぶしたり、拘束や監視の対象にできるということだ」と指摘した。

(社会新報2020年1月22日号より)