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中東戦争阻止 「仲介者」として平和憲法を活かした外交を

カテゴリー:社会新報 投稿日:2020-01-17

2020年は、年初から世界が震撼(しんかん)し、戦争の暗雲が立ちこめている。

米国は3日、トランプ大統領の指示の下、イラクの首都バグダッドで空爆を行い、イラン革命防衛隊のカセム・ソレイマニ司令官を殺害した

「戦争を始めるためでなく、止めるため」、「海外に駐留する人員を保護するための防衛的措置」などと正当化しているが、予防的な自衛権の行使は、イラクの主権侵害だけでなく、明らかに国連憲章に違反する。米国の単独行動主義の蛮行によって、中東のみならず世界の平和を脅かすことは絶対に許されない。

米国は、イランが報復した場合、イランの民間施設、文化施設、軍事関連施設の計52ヵ所を攻撃すると発表した。しかし、国連安全保障理事会は、米国も賛成した2017年の決議で、「宗教的遺跡や遺物の破壊を含む、文化遺産の違法な破壊を非難する」と宣言している。1954年のハーグ条約にも違反する戦争犯罪であり、二重三重に国際法違反を繰り返えす暴挙は、断じて許されない。

一方、イランも、5日に核開発拡大の「第5段階」を発表し、8日には米軍基地へのミサイル攻撃を実施した。今後、報復の連鎖による両国の大規模な衝突が懸念される。

8日、米国は「軍事力を行使したくない」として、当面の全面衝突は回避された格好だが、対立の要因が解消されたわけではない。泥沼の戦争にならないよう、双方が自制し、冷静かつ慎重な対応を模索すべきだ。

安倍首相は、11日から予定していた中東歴訪を中止した。「外交の安倍」を強調し、米国とイランの「橋渡し役」と言っていたのなら、今こそ役割を果たすべきであり、米国に対し、そこからの離脱が今回の事態のきっかけとなったイラン核合意への復帰を求めるべきだ。また、中東情勢の緊迫化というのなら、米国とイランの軍事的対立に巻き込まれる事態も考えられる海上自衛隊の派遣も中止すべきである。

中東情勢の緊張が激化する中、平和憲法を持つ日本の立ち位置が問われている。戦後75年、日米安保60年の節目の年である今年を、断じて「戦争の年」にしてはならない。「9条にのっとった行動をしてきた。だから、アフガンでも中東でも、いまでも親近感を持たれている。これを外交の基礎にするべきだ」という中村哲さんの言葉を重くかみしめたい。

(社会新報2020年1月15日号・主張より)