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カジノマネーが政界を汚染

カテゴリー:内閣法務 投稿日:2020-01-17

「秋元再逮捕」とIR贈収賄事件の構図

カジノをめぐる政界汚職に東京地検特捜部のメスが入った。昨年12月に逮捕された秋元司・元内閣府副大臣(48)=自民離党=に賄賂を渡したとされる中国企業は、他の国会議員への資金提供も供述しているという。汚れたカジノマネーはどこまで広がっているのか  。

秋元氏は逮捕直前までマスコミに自ら電話をするなどして「特捜部と戦う」などとまくし立てていた。そんな秋元氏の様子を間近で見ていたという関係者の男性が取材に応じた。

男性によると、秋元氏と接点のある業者への特捜部の聴取が本格化したのは、昨年10月ごろだったという。

AT社を資金受皿に

「秋元は知人らと対策を練っていましたが、『俺は絶対に逮捕されないから大丈夫』と余裕でした。ところが、昨年12月7、8日に元秘書2人の自宅に捜索が入ると、さすがに焦ったのか、現役の秘書たちに『辞めて新しい職を探してもいい』と告げたり、『逮捕されたら離党はしても議員は辞めない』と言ったりするようになりました」

それでも「俺は関係ない」と周囲に繰り返していたというが、逮捕の1週間ほど前には「あいつら、余計なことしゃべってねえだろうな…」と独り言をつぶやくようになったという。

「あいつらとは元秘書2人のことです。信頼が厚く、業者が秋元に資金提供する際の受け皿となる『ATエンタープライズ』という会社の経営を任されていました。つまり、秋元の裏側の全てを知る立場でした」

特捜部はそのAT社に中国企業「500ドットコム」から講演料名目で200万円の賄賂が振り込まれたと見て調べている。

昔ながらのスタイル

秋元氏はどんな政治家なのか。大東文化大在学中の93年に小林興起元衆院議員の秘書となり、04年の参院選に比例区から出馬して初当選。次の10年の選挙で落選した。12年にくら替えした衆院東京15区で3回連続当選するが、うち2回は比例復活の「辛勝」だった。男性は言う。

「選挙が弱く苦労したせいか、どんな陳情でも受けていた。陳情者の目の前で役所に電話して問い合わせ、受けた依頼の結果は必ず回答していた。田中角栄先生ほどではないが、良くも悪くも、昔のスタイルの自民党議員という感じです」

一方で、脇の甘さも目立ったという。「陳情業者にパー券を買わせたり、選挙を手伝わせたりするだけでなく、銀座の高級クラブの飲み代を負担してもらっていた。ブローカー風の怪しい業者とも平気で付き合っていました。政治力目当ての業者にしてみたら、実に使い勝手のいい、便利な政治家に見えたでしょう」

特に関係の深かったのが、パチンコ業界だったという。秋元氏は業界と関係のある「時代に適した風営法を求める議員連盟」の事務局長でもあった。特捜部は秋元氏逮捕の翌日、AT社とコンサルタント契約を結ぶパチンコ大手企業の捜索に入り資料を押収している。

「パチンコ業界との癒着がある議員は秋元だけではありません。捜査の手がどこまで伸びるのか心配です」

下地議員ら5人にも

一方、中国企業のカジノマネーが日本の政界に広がった疑惑が浮上している。

100万円の提供を受けたと報じられている議員は、岩屋毅氏(自民)、中村裕之氏(同)、船橋利実氏(同)、宮崎政久氏(同)、下地幹郎氏(日本維新の会※当時)の5人。いずれもカジノ関連議連幹部や誘致表明地域選出の議員だ。

このうち下地氏は、現金を受け取った翌年の国会で、堂々とカジノ推進策を提言していた。海外の豪華客船が日本の領海に入ると船内でカジノ営業ができず、日本の観光振興にマイナスだから、超法規的に認めるべきという内容だ。石井啓一・国土交通相(当時)から「慎重な検討が必要」といなされると、「大臣、この認識はちょっと甘い」と詰め寄ってもいた。

気になる報道もある。『週刊朝日』のオンライン版は、秋元氏が逮捕前の取材にこう明かしたと報じている。

「約2000万円もらっている議員がいる」「なんらかの形でカネもらったり、便宜を受けたリストに載っている議員は30人はいるんじゃないか」

「ハマのドン」が指摘

政界に黒い霧が漂う中、横浜市のカジノ誘致に反対する注目の藤木幸夫・横浜港運協会会長(89)が1月6日の賀詞交歓会に姿を見せた。菅義偉官房長官らと太いパイプを持つなど政界の裏事情を知り尽くす〝ハマのドン〟は、秋元氏の逮捕に触れてこう言い放ったという。

「あんなもの、政治家みんなやってることだから。新聞が何百ページあっても足りないよ」

 

【カジノ贈収賄事件】東京地検特捜部は2019年12月、秋元司衆院議員を収賄容疑で逮捕。容疑は、IR担当の内閣府副大臣だった17年9月、中国企業「500ドットコム」から、IR事業参入の便宜要求目的と知りながら、現金300万円を受領。18年2月に同社がカジノ誘致を計画していた北海道留寿都村に招待された際、家族旅行代約70万円を負担してもらったとされること。秋元氏は20年1月14日に350万円の収賄容疑で再逮捕された。

(社会新報2020年1月22日号より)