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市民の力で日韓友好を

カテゴリー:外交安保 投稿日:2020-01-01

日韓平和フォーラムレポート

日韓平和フォーラムレポート

「日韓は永遠に引っ越しすることができない、本当に近い国です。両国市民の継続的な協力で、韓国と日本の平和を成し、ひいては世界の平和を成し遂げることを切に願います」

今回のフォーラムを企画したハリム誠心大学東アジア平和研究所所長のユン・ジェソンさんは開会式でこう述べ、日本からのゲストや参加者を歓迎した。

12月5日から始まったフォーラム(主催=江原道・春川市、主管=ハリム誠心大学東アジア平和研究所)には日本から約140人が参加。3日目は非武装地帯(DMZ)を訪問した。

このフォーラムは、ユンさんが「日韓市民交流を進める希望連帯」代表で『ソウルの民主主義 日本の政治を変えるために』(コモンズ)著者の白石孝さんに呼びかけて実現した。19年の夏に朴元淳ソウル市長と白石さんが面談した様子が韓国国内で大きく報じられ、それを目にしたユンさんが白石さんに白羽の矢を立てた。

平和資産つくろう

38度線によって南北に分断された江原道。その道庁所在地である春川市は、ドラマ『冬のソナタ』のロケ地としても有名で、日本をはじめ中国や東南アジアからの観光客でにぎわい始めた2005年に、北東アジア地域の文化共同体を実現するためのフォーラムを開催、「平和の都市・春川」を内外に発信した。
南北に分断された唯一の自治体として、北朝鮮との南北交流協力事業に力を入れてきた江原道と春川市。光復(日本統治からの解放)70年となる2015年から16年、17年と開催した北東アジアフォーラムを通じて、朝鮮半島や北東アジアの平和構築に中心的な役割を果たしていくという決意を発信してきた。

そして今年のフォーラムは、第2次世界大戦の産物である「DMZ」と「日本国憲法」の価値を再確認し、両国市民の交流と連携を強めていこうという趣旨で開催された。

ユンさんは、「日本政府は平和憲法を改正して戦争できる国へと変貌しようとしている」という認識の上で、改憲が「第2の韓国戦争(朝鮮戦争)につながる恐れがあり、戦争が勃発すれば北東アジア全体が共倒れになる。私たちは市民の力で戦争の危機を防がなければなりません」と呼びかけた。そして、「第2次世界大戦の痛みから生まれた日本の平和憲法と韓国戦争の傷として残るDMZを両国市民の協力で平和の資産として構築していきたい」と提案した。

開会式では、ユンさんと白石さんが以下の「誓約書」を読み上げ、交換した。

①お互いの文化と歴史を学び合い、リスペクトし合う交流・協力を約束します。
②国家間の政治的な側面に左右されない市民の間の平和を求める活動を目指します。
③Local to Local,

People to Peopleを進め、格差や貧困や環境問題などの直面する諸課題の解決を目指します。

基調講演では、延世大学校名誉教授で哲学者のキム・ヒョンソクさんと、前広島市長で平和首長会議議長の秋葉忠利さんが登壇した。

三一独立運動の翌年に生まれたキムさんは今年100歳。第2次世界大戦、冷戦、ソ連崩壊を経て、今、世界はどのような価値を尊重すべきかについて話した。キムさんは、主義ではなく、その社会が開かれているか閉ざされているかが重要であり、「すべての価値が共存する社会に向かうべきだ」と主張。第2次世界大戦とその後の経験から世界が見出した価値とは「和解と共存の秩序」だとし、ドイツが自らの罪を認め、反省し、和解から共存に向かう道を模索してきたことを高く評価。ドイツや欧州連合の経験から学び、「東北アジアの平和構築に向けて韓国、中国、日本が開かれた共存社会に向かって進むべきだ」と述べた。

秋葉さんは、原爆投下を経験した広島市の元市長として、「キノコ雲の上と下」という視点から話を切り出した。

日本人の多くは原爆投下を「雲の下」、すなわち被爆者の立場から考えており、米国人の多くは「雲の上」の立場で「原爆投下は正しかった」と考える傾向があるが、米国における原爆肯定率は年々低下し、オバマ大統領(当時)のプラハ演説(09年)、広島訪問(16年)で大きく低下したという。

核撤廃こそが謝罪

秋葉さんは、原爆を投下した「エノラ・ゲイ」の機長ポール・ティベッツさんと原爆資料館の館長の高橋昭博さんとの対談を実現させた立役者であり、通訳として同席もしていた。両者は核戦争を起こさないために努力し合うことを誓い合い、その後も文通を続けたという。

秋葉さんは、オバマ大統領の広島訪問とティベッツ・高橋会談には、「謝罪がない」という共通点があるが、「真の謝罪」に近づくために大きな意味があったと話す。

「被爆者にとって本当の謝罪とは、核なき世界を実現することであり、核兵器の撤廃という実質が伴った時に初めて真の謝罪になります」

そして、米国のトランプ大統領と朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)の金正恩委員長との会談が実現したものの、北東アジアの非核化に向けた主導国が不在であるという問題を指摘。これについて秋葉さんは、環境問題に注目すること、異常気象や災害による被害への対策を通じて、北東アジアの連携が進められるのはないかと提案。

日本、韓国、DPRKに共通する課題である自然災害による犠牲に着目することで、「脱軍事思考を基盤として国際協力が可能になるのでは」と話し、日本においては「防衛省」を「防災省」に転換すべきだと主張した。

(社会新報2020年1月1日号より)