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9条を体現しアフガンで用水路事業 中村哲さんの遺志を引き継ぐ

カテゴリー:党務 外交安保 投稿日:2019-12-24

中村哲

(写真は18年4月、福岡市で=共同)

アフガニスタンやパキスタンで支援活動を行なうNGOで、長年にわたる医療支援やかんがい事業などの活動を行なってきた「ペシャワール会」現地代表の中村哲医師が2019年12月4日、現地で何者かに襲撃され、亡くなった。厳しい治安情勢の中、現地の人々の信頼を得て人道支援活動を続けてきた中村医師は、まさに憲法9条を体現する、日本の良心のような存在だった。本紙としても、深く哀悼の意を表したい。

アフガニスタンでは、地球温暖化の影響によると考えられる大干ばつや気温上昇のために、水源である高山地帯の雪が一気に解け流れてしまうことにより、大地が乾燥化。人々は深刻な食糧危機に悩まされ続けている。そんな中、「百の診療所より一本の用水路を」と中村医師が取り組んだのが、かんがい事業だ。

03年より、水量の豊富なクナール河水系を利用したかんがい用水路建設計画を開始。現在までに、1万6500ヘクタール(東京ドーム約3510個分)の土地、約60万人の農民たちに水を供給するという偉業を成し遂げた。その功績はアフガニスタンのモハンマド・アシュラフ・ガニ大統領も絶賛。中村医師に勲章と名誉市民権を授与した。

中村医師は、徹底した平和主義者であった。テロ対策特措法改正、インド洋上での米軍等の艦船への海上自衛隊による給油活動をめぐる国会審議(08年11月5日、参院外交防衛委員会)で参考人として発言。「いわゆる対テロ戦争という名前で行なわれる外国軍の空爆、これが治安悪化に拍車をかけている」「1人の外国兵の死亡に対して、何でもない普通の人が死ぬアフガン人の犠牲というのはその100倍と考えていい。すなわち、外国人の戦死あるいは犠牲者の100倍の人々が、日々、自爆要員、いわゆるテロリストとして拡大再生産されていく状態にある」などと、対テロ戦争を批判した。

自衛隊派遣は有害無益

自民党の佐藤正久参院議員が、アフガニスタンで自衛隊が活動し得るのか質問したところ、「自衛隊派遣によって治安はかえって悪化する。軍服を着た自衛隊が中に入っていくと、これは日本国民にとってためにならないことが起こるであろう」と中村医師は断言。「国連がしようとアメリカがしようとNATOがしようと、人殺しをしてはいけない、人殺し部隊を送ってはいけない、軍隊と名前の付くものを送ってはいけない。これが復興の要の一つではないかと私は信じております」と訴えた。

再度、同じ質問をした佐藤議員に対し、「有害無益」と喝破し、どうしても自衛隊をアフガニスタンに派遣しようとするならば、「麻生首相(当時)自ら銃を握って前線に立ってもらいたい」と派遣を命じる側の責任を問うたのである。紛争地に身を置き続けたからこその鬼気迫る答弁であった。

社民党も追悼コメント

中村医師の突然の訃報には、社民党の又市征治党首もコメントを発表。「本当に信じられないし、残念な思いでいっぱいです」と哀悼の意を表した。

コメントの中で又市党首は、「社民党としても、議員の勉強会や国会の活動などで大変お世話になりました。現地で活動している中村さんの思いや経験がいかに大きなものだったのかと感じており、今も中村さんが熱く語る姿を思い出します」と振り返り、中村医師の珠玉の言葉の数々を引用。

「武器など絶対に使用しないで、平和を具現化する。それが具体的な形として存在しているのが日本という国の平和憲法、9条ですよ」「9条があるから、海外ではこれまで絶対に銃を撃たなかった日本。それが、本当の日本の強味なんですよ」「危険だと言われる地域で活動していると、その9条のありがたさをつくづく感じるんです。日本は、その9条にのっとった行動をしてきた。だから、アフガンでも中東でも、いまでも親近感を持たれている。これを外交の基礎にするべきだと、僕は強く思います」などである。

言葉を重くかみしめて

又市党首は、「9条をバックボーンに、武装勢力が出没する危険な地域で体を張って活動を続けてこられた中村哲さんの言葉を重くかみしめ、しっかり受け継いでいきます」とコメントを締めくくった。

アフガニスタン、イラクなどでの対テロ戦争から、戦乱で荒廃した国の復興が、いかに困難であるか、ただただ米国の軍事行動に付き従い、それを支援することの愚かさはすでに十分示されている。対イラン圧力を強めるトランプ政権に従い、安倍政権がオマーン沖等中東に海上自衛隊を派遣しようとしている今だからこそ、中村医師の言葉を胸に、9条の精神を広めていきたい。

(社会新報2019年12月25日号より)