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桜を見る会で問われる 不都合な文書を恣意的廃棄

カテゴリー:内閣法務 投稿日:2019-12-18

公文書管理法の改正が急務

桜を見る会で問われる 不都合な文書を恣意的廃棄

またもや記録が闇に葬られた――。税金の「私物化」と批判されている首相主催の「桜を見る会」の招待者名簿が、国会で追及される直前に廃棄されていた。その図式は、安倍晋三首相夫人の関与が指摘された森友学園問題での公文書ぺい蔽・改ざんとそっくりだ。

桜を見る会は、各界の功績者、功労者を招き、日ごろの労苦を慰労するための公式行事。新宿御苑で例年4月に開かれ、参加者には和菓子や日本酒などが無料で振る舞われる。運営費は税金だ。

問題となっているのは、第2次安倍政権が誕生した2012年以降の参加者の急増だ。それまでの1万人前後から今年は1万8000人まで膨れ上がり、しかも、「功績、功労」とは無関係に首相や自民党議員の後援者が大量に招待されていたのだ。

「森友学園」と似た光景

ところが、安倍首相は11月8日の参院予算委員会で自らの後援者について聞かれると、「個人情報」「セキュリティーに関わる」などと肝心な点の回答を拒んだ。極めつけは、桜を見る会を所管する内閣府の大塚幸寛官房長のこの発言だ。「招待者名簿などの書類は保存期間1年未満の文書として、会の終了をもって遅滞なく廃棄している」。

思い出すのは、首相の妻・昭恵氏の関与が指摘された森友学園への国有地〝格安売却〟問題だ。財務省の佐川宣寿・理財局長(当時)は国会でこう繰り返していた。「(学園側との)面会記録につきましては、保存期間1年未満ということでございまして、契約終了とともに処分している」

1年未満文書とは、内容が軽微という理由で職員の裁量でいつでも廃棄できる公文書だ。森友問題では、財務省がこの1年未満ルールを持ち出して「記録はない」と言い張りながら、その裏で記録の廃棄を進め、改ざんまでしていた。では、桜を見る会の記録をめぐる官庁の対応はどうか。

内閣府は、今年の会の招待者名簿は会終了から26日後の5月9日に廃棄したとしている。驚くべきことに、その日は、共産党の宮本徹衆院議員が国会で桜を見る会の問題を追及しようと内閣府と内閣官房に資料要求をした日だった。

内閣府の弁解はこうだ。名簿は個人情報のため速やかな廃棄が必要だ。量が多いため4月22日に庁内の大型シュレッダーの使用を予約したところ「順番待ち」となり、たまたま5月9日になった  。

内閣官房の素早い廃棄

名簿の電子データについても、政府は「7~9日前後に担当職員がパソコンから削除した」「復元は難しい」などと、野党が求める検証に予防線を張るかのような説明を繰り返している。

さらに疑わしいのは、首相や官房長官、自民党からの推薦者をとりまとめた内閣府と内閣官房の記録だけが廃棄されている点だ。会は各省庁が功労者らを推薦する仕組みで、省庁では名簿を保存期間1年以上の文書として保存している(表参照)。内閣府と内閣官房の「素早い廃棄」が際立っているのだ。

菅義偉官房長官は、今年の会での政治家からの推薦者数について「総理約1000人、副総理・官房長官・官房副長官等約1000人」と説明したが、この人数は「実際より少ない」との見方が大勢だ。参加者が今年より少なかった14年の会の資料に「総理、長官等推薦者」が「3400人」と記載されているためだ。ところが、菅官房長官は「名簿をすでに廃棄しているため、確認できていない」と答えるのみだ。

怒りよりも憐憫感じる

首相の推薦者の中には、昭恵氏からの推薦者が含まれている。私人である昭恵氏に、なぜ推薦権限があるのか、単なる「お友だち」まで推薦しているのではないかなど、疑問は尽きない。さらには、悪質なマルチ商法を展開していた容疑で警察から家宅捜索を受けた「ジャパンライフ」(東京)の元会長が「首相枠」で招待されていた疑惑も浮上している。

官僚たちは、森友・加計学園、自衛隊PKO日報など政権直撃のスキャンダルが起こるたびに「記録がない」とごまかし、真相解明を阻んできた。それは、首相らを守ることになっても、主権者である国民に対する裏切り行為だ。加計学園問題で首相の権力の私物化を告発した元文部科学次官の前川喜平氏はツイッターにこんな投稿をしている。

「税金で行なう公的行事を私物化した権力者のために、『廃棄した』『記録がない』『分からない』と嘘を繰り返す官僚たちを見ていると、怒りよりも憐憫(れんびん)を感じる」

 【公文書管理法】 福田康夫元首相の主導で立案され、2011年に施行された。その第1条で公文書を「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るもの」と規定している。各省庁は、実際の管理方法を定めたガイドラインに基づき規則を作り運用する。しかし、職員の裁量で廃棄できる保存期間1年未満文書の存在など、不都合な文書を恣意的に廃棄できる抜け道は多く、法改正やガイドライン改正の必要性が指摘されている。

(社会新報2019年12月18日号より)