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イージス・アショア なぜ秋田と山口に?

カテゴリー:外交安保 投稿日:2019-12-04

攻撃基地に転化する可能性も

イージス・アショア なぜ秋田と山口に?

地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」(メモ参照)の国内配備計画に反対する集会が11月19日、東京・千代田区の参院議員会館で開かれ、約200人が参加した。

配備計画があるのは、山口県萩市の陸上自衛隊「むつみ演習場」と秋田市の同「新屋(あらや)演習場」。政府は2017年12月、当該自治体に正式伝達することなく導入を閣議決定し、予算案に計上した。

政府はこの2ヵ所への配備で、日本全土のミサイル防衛をカバーできるとしているが、疑問の声も多い。

住民大多数が反対

集会で、「イージス・アショア配備計画の撤回を求める住民の会」(山口県萩市)の森上雅昭代表は、政府の強引なやり方に対し「安倍晋三政権の本質の表れだ」と批判した。

計画が浮上して以来、同会は防衛省側と交渉を続けているが、森上さんは「防衛省はデータを隠し、うそばかり言い、配備を進めようとしている」と指摘した。

同会は昨年7月から「計画撤回」を求める署名活動を続けている。森上さんは「演習場の周辺住民の過半数は署名済み。民意は圧倒的に計画撤回だ」と語った。

「STOPイージス! 秋田フォーラム」(秋田市)の櫻田憂子代表は、「配備計画地の新屋演習場は、秋田市中心街に近く、住宅地に隣接している」と指摘した。

最も近い新屋勝平地区には約1万3000人が暮らし、小中学校や幼稚園など各種施設も存在する。

櫻田さんによると、その危険性が伝わるにつれて周辺住民の中で反対の声が増し、新屋勝平地区振興会は昨年7月に反対決議を上げたという。

世論調査によると、秋田県全体で今や6割以上が「反対」の意思表示をしている。

櫻田さんは、「現在の目標は市議会と県議会で反対を表明させること」と言う。そのための請願署名運動を今年10月に始めた。「目標は10万筆。最終的には、国会で白紙撤回を勝ち取りたい」と語った。

対米従属の異様さ

次に、ジャーナリストで軍事評論家の前田哲男さんが問題について解説した。

前田さんはまず、自民党・日本政府と米政府の関係を指摘した。

一昨年3月末に、自民党政務調査会はイージス・アショア配備を提言し、同8月に日米安全保障協議委員会(日米「2+2」)で日本政府は米側へ導入を要請、11月の米トランプ大統領訪日時に日米で導入合意、という流れだ。

前田さんは「まさに当事者(当該自治体と住民)抜きの決定だ。軍産複合体ファーストの米トランプ政権とそれに従属する安倍政権の異様な関係が見えてくる」と指摘した。

さらに前田さんは、米ロの中距離核戦力(INF)全廃条約から米国が離脱したことを挙げ、「イージス・アショアが配備されれば、ミサイル迎撃基地としての位置付けにとどまらず、攻撃基地に転化する可能性もある」と指摘した。

この後、3人を交えてパネルトークが行なわれた。

座長(司会)を務める明治大学の纐纈厚特任教授(日本政治史)は、前田さんの発言を受けて、「米国の視点は対テロ戦争から大国間の戦争に戻った」と指摘し、「日本が対中国・対ロシアの攻撃基地化する可能性はあるのか」と問いかけた。これに対して前田さんは「イージス・アショアの攻撃型への転化は、大幅な改修なしでも可能だ」と指摘した。

(社会新報2019年12月4日号より)