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【佐高信の“眼”】 新“原発文化人” 佐藤優

カテゴリー:社会新報 投稿日:2019-10-30

関西電力には名誉会長になっても代表権を手放さなかったドンの芦原義重と、その芦原のお庭番の副社長、内藤千百里がいた。

2018年に94歳で亡くなった内藤が14年7月28日付の『朝日新聞』で「関電の裏面史」を語り、1972年から18年間、歴代首相に、盆暮れの2回、1000万円ずつ献金してきたと告白したが、私はこれは表の額にすぎないだろうと思う。

なぜなら、拙著『原発文化人50人斬り』(光文社知恵の森文庫)で明らかにしたように、選挙応援の額でさえけた違いだからである。

アントニオ猪木の秘書だった佐藤久美子の『議員秘書、捨身の告白』(講談社)
によれば、青森県知事選の応援で、最初、原発一時凍結派の候補から150万円の謝礼で来てほしいと頼まれた猪木は、その候補の応援に行くつもりだったが、原発の推進派のバックにいた電気事業連合会(電事連)から1億円を提示され、あわてて150万円を返して、そちらに乗り換えたという。

まさに札束で頬をたたくこうしたやり方は、高木仁三郎のような筋金入りの反対派にさえ試みられた。

高木の『市民科学者として生きる』(岩波新書)に、ある原子力情報誌の編集長から、3億円を用意してもらったので、エネルギー政策の研究会を主宰してほしいとの誘いがあったと書かれている。3億円について、高木は「現在だったら100億円くらいに相当しようか」と注釈をつけているが、猪木の1億円も今では何倍かする必要があるだろう。

3・11の事故の後に原発の必要性を強調

原発文化人として私はそこで、ビートたけし、吉本隆明、堺屋太一、弘兼憲史らを挙げたが、11年3月11日の東電福島原発の大事故の後に、なお原発必要の太鼓をたたいた罪深い文化人が2人いる。1人は元東大教授の山内昌之で、もう1人が作家と称する佐藤優である。

マルクスについて知ったかぶりのことを言うので、だまされる人間も多い(特に革新を名乗る者に)佐藤は、16年3月2日付の『東奥日報』の電事連の「全面広告」に出て、「エネルギー安全保障の観点から原子力発電の必要性を強調」している。メデタク“原発文化人”の仲間入りをしたわけである。

佐藤は竹中平蔵との共著『竹中先生、これからの「世界経済」について本音を話していいですか?』(ワニブックス)で、大宅壮一ノンフィクション賞の選考委員として、竹中を批判した佐々木実著『市場と権力』(講談社)が受賞作となったことに苦しい言い訳をし、こう弁解している。

竹中は「私が選考に関わっていることを知っているにもかかわらず、『よくもこんな本に賞を出しやがって。もうお前とは会わない』などと怒ったりしないし、そんな雰囲気をみじんも感じさせないのは立派だ」と持ち上げ、さらに「やはり竹中さんは度量が広いし、国際基準からいっても彼はインテリなのである」と付け加えている。佐藤優の正体見たりで、竹中と同じく佐藤もペケである。

(社会新報2019年11月13日号より)