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全世代型社会保障 憲法13条、25条を活かした社会保障の充実を

カテゴリー:社会新報 投稿日:2019-10-02

「一億総活躍」を掲げる安倍内閣にとって、「最大のチャレンジ」と位置付けられている全世代型社会保障への改革を検討するための会議が20日に発足し、議論がスタートした。「子どもたちからお年寄りまで、すべての世代が安心できる令和の時代の新しい社会保障制度のあり方を大胆に構想していく」というが、社会保障の自然増の毎年5000億円以上のカット、「年金カット法案」の強行をはじめ、自己負担増や給付削減など社会保障の切り捨てを進めてきたのが安倍政権だ。

骨太方針2018は、社会保障を「歳出改革の重点分野」と位置付け、19~21年度を「基盤強化期間」として、一層の自然増の抑制、患者・利用者への負担増や給付の抑制・削減を徹底する方向となっていた。10月の消費税増税と一体となって、社会保障の切り捨てを進める具体策づくりが全世代型社会保障である。

検討するメニューとして、年金支給年齢の70歳超への選択肢拡大、75歳以上の医療費の窓口負担の原則1割から2割への引き上げ、受診時定額負担の導入、OTC類似薬の保険給付範囲の見直し、自己負担が3割となる現役並み所得者の対象拡大、要介護1・2の地域支援事業への移行、ケアプラン作成の有料化などが打ち出されている。改悪のオンパレードだ。

希望すれば70歳まで働けるための制度改正もテーマであるが、高齢者の就職状況は非常に厳しく、定年延長も進んでいない。健康状態は非常に個人差があり、置かれている環境も異なる。「社会保障を縮小していくので、もっと働こう」、「生涯元気で働き、税と保険料を納めて、給付はもらわないでね」とでもいうのか。「高齢者偏重」とレッテルを貼る前に、高齢者の貧困や、「老老介護」、「認認介護」による夫婦共倒れ、介護心中・自殺の悲劇、育児と介護のダブルケア、多重介護、ヤングケアラーの負担増、年10万人以上に及ぶ介護離職、高止まりする親族間の高齢者虐待といった現実を直視すべきである。

全世代型社会保障検討会議は、年末に中間報告、来年夏に最終報告をまとめる方向であり、働く者や高齢者の代表がいないまま、議論だけが急ピッチで進められようとしている。全世代型社会保障という名の改悪の「総仕上げ」に反対し、憲法13条の幸福追求権や25条の生存権を具体化する方向で社会保障制度の充実を目指す取り組みを強化しよう。

(社会新報2019年10月2日号・主張より)