ニュース

台風15号災害 復旧を担う自治体職場の態勢は万全か

カテゴリー:社会新報 投稿日:2019-09-25

台風15号が今月9日、関東地方を襲った。台風の進路の東側に当たる千葉県には特に多くの被害が集中し、最大時(9日午前8時ごろ)には64万戸以上で停電が発生、ほぼ10日たった18日(午前11時30分)もまだ3万6700戸で停電が続いている。被災地では台風後も豪雨に見舞われてさらに被害が拡大し、被災者の生活も深刻になる一方だ。国は激震災害指定とともに、被災者に寄り添った復旧・復興に全力を挙げることが必要だ。

現地では被害の現状が報告できない市町村もあり、全容は判明していないという。停電や通信の不通により被害情報の共有が進まず、自治体から被災地(者)への情報提供や職員の派遣に遅れが生じた。ある自治体では災害翌日の10日、停電で市役所の固定電話が不通になり、11日午後には防災無線も使えなくなった。県と各市町村に緊急用に配置されている防災電話や防災情報システムも使用困難になったという。災害や停電等で使用できなくなる恐れのあるシステムが災害対策の前提となっていることには、見直しと対応策が必要である。多くの場合、災害時には自治体をはじめ公的機関が「支援する」側で、被災した地域や住民が「支援される」側となる。災害にはこうした考え方で準備と対策が講じられてきた。しかし今回の災害においては「支援する」側が「支援を必要とする」側となった面も否定できない。こうした事態を想定した対策も求められる。

市町村は、基礎的な地方公共団体として「当該市町村の地域並びに当該市町村の住民の生命、身体及び財産を災害から保護する」(災害対策基本法)任務がある。この間、温暖化等を背景に自然災害が増加する一方、減らされているものが自治体の職員である。全国の地方公共団体の総職員の推移を見ると1994年の328万2000人が2018年には273万7000人となり、人員の減少は55万人にも及ぶ。今回も「本来は職員が調査しなければならないが、被災者対応に追われて人手が足りない」という状況があちこちで生まれたという。「鈍さ」「遅れ」「後手」と評される事態のすべてではないにしろ、人員が削減され慢性的に人手不足の自治体職場が背景にあるのは確かだ。今後いつまたこうした事態に直面しても不思議ではない。それだけに安易な人員削減や効率化は厳しく見直されなければならない。

(社会新報2019年9月25日号・主張より)