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韓国は「敵」なのか 輸出規制を撤回し日韓関係改善を

カテゴリー:外交安保 投稿日:2019-09-13

「声明の会」 日韓連帯緊急集会

日韓連帯緊急集会

(写真左から:内田雅敏さん、羽場久美子さん、和田春樹さん、クォン・ヨンソクさん)

日韓関係が悪化する中、東京都千代田区で8月31日、緊急集会「韓国は『敵』なのか」が行なわれた。会場は約300人の参加者であふれかえり、韓国の報道関係者も多数つめかけた。主催は、「韓国は『敵』なのか」声明の会。

昨年10月、韓国の大法院(最高裁判所)は、日本企業を被告とした「徴用工」損害賠償請求事件の上告審で、日韓基本条約(メモ参照)と日韓請求権協定(同)を考慮しても「個人の請求権は消滅していない」とし、被告企業に賠償を命じる判決を下した。

これに対し、安倍晋三内閣は報復の意図を公言し、安全保障上の輸出管理を優遇する「ホワイト国」から韓国を除外するなどした。

日本政府のこの動きに対し、韓国政府は猛反発し、日韓軍事情報包括保護協定(日韓GSOMIA)の破棄を日本政府に通告した。

「相手とせず」の傲慢

緊急集会で、弁護士の内田雅敏さんは、前述の韓国大法院判決を解説し、その意味を語った。

判決の骨子は、①日本による朝鮮植民地支配は合法的なものではなかった②日韓請求権協定には植民地支配に基づく強制労働の慰謝料請求権の問題は入っていなかった③同協定で放棄されたのは国家の外交保護権であり、個人の請求権は放棄されていない というものだ。

内田さんは②③について、「日本政府の従来からの見解そのものだ」と語った。外務省の条約局長は1990年代に入っても、「『放棄』は外交保護権であり、個人の権利は放棄されていない」旨を国会で答弁してきたという。

内田さんは「日本政府はこうしたことを国民に知らせないまま、『(韓国政府の言動は)国家間の合意に反する』などと言い放っている」と批判した。

東京大学名誉教授(現代朝鮮研究など)の和田春樹さんは、今年1月の国会施政方針演説で安倍首相が中国やロシアや北朝鮮に触れながらも、韓国については一言も触れなかったことを問題視した。

「韓国を『相手とせず』の態度だ。日本が日中戦争に入り込んだ時、近衛文麿首相が中国国民党に向けて放った『爾後(じご)国民政府を相手とせず』の言葉を思い出す」

実際、6月末に開催されたG20大阪サミットで安倍首相は文在寅大統領を無視し、会談さえ行なわなかった。

日本国内から「韓国との関係改善に注力するより、米国との同盟関係をより強固にすることを優先すべき」との声も聞こえてくる。しかし、和田さんはこうした意見に対し、「そんな方向に進んでいけば、日本の未来は暗くなり、平和国家も消えてしまうだろう」と厳しく批判する。

日韓対立と米の意図

慶応義塾大学名誉教授(経済学)の金子勝さんは、日本政府が「韓国政府の日韓GSOMIA破棄は、安全保障の問題と別の問題を結びつける暴挙」という旨の発言をしたことを取り上げ、「もともと、徴用工問題を安全保障関連の輸出管理問題と結びつけたのは日本だ」と日本政府を批判した。

青山学院大学の羽場久美子教授(国際政治学)は、日本は近隣諸国のほとんどと良い関係にない中で、「唯一の同盟国だった韓国との良好な関係が、いま崩れようとしている。極めて危ういことだ」と語った。

そして、「今、中国や韓国を含めて、東アジアで何か(紛争のようなこと)が起こることが、欧米とくに米国の利益になることを、考えておいた方がいい」と語った。米トランプ政権の露骨な「自国生き延び」政策の意図を見極める必要があるという。

「私たちは『東アジアで戦争をさせない』ということを本気で考えないと、とても危ないことになる」

そう警鐘を鳴らした。

一橋大学のクォン・ヨンソク準教授(東アジア国際関係史)は、「韓国では今、第2の独立運動が闘われている」と語った。

韓国の多くの若者は今、「親韓半島体制」を実現しようとしているという。米国の敷いた朝鮮半島分断体制の延長線上にGSOMIAがあり、THAAD(米国運用の巡航ミサイル迎撃システム)受け入れがあるとの認識だ。

それなのに、歴史修正(偽造)主義と不当な経済政策を推し進める安倍政権を米国が支持し続けるため、「日米がアジアを仕切り、韓国は従属化する」との危機感を強めているのだという。

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 【日韓基本条約、日韓請求権協定】=日韓基本条約は1965年に締結。当時の韓国は、朴正煕軍事独裁政権。日本が1910年に大韓帝国を併合する以前に締結された条約や協定は「もはや無効であること」などを確認。
日韓請求権協定も同時に締結された。両国とその国民の間の請求権に関して、完全かつ最終的に解決されたことなどを確認。これに伴い、日本は韓国に対し、3億米㌦の無償供与と、2億米㌦の長期低利貸付を行なうことを決めた。

(社会新報2019年9月18日号より)