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日韓関係 韓国たたきではなく、対話と交流を

カテゴリー:社会新報 投稿日:2019-08-09

8月2日、政府は、安全保障上の輸出管理で優遇措置を取っている対象国から、韓国を除外する政令改正を閣議決定した。いわゆるホワイト国からの除外である。すでに7月4日、安全保障上「不適切な事案」があったとして、半導体などの製造に必要なフッ化水素など3品目の輸出規制を強化していたが、それに続く対韓強硬措置である。G20大阪サミットで、安倍首相が「意見の違いではなく、共通点や一致点を粘り強く見いだすこと、自由で開かれた包摂的かつ持続可能な未来社会の実現に向けた協力を継続していきたい」と宣言したばかりであるにもかかわらず、議長国が自由貿易を完全否定するような暴挙に出たといえる。

日本政府は、貿易管理で韓国側に不適切な事案があったと強調するが、その内容を具体的に明らかにしていない。「(韓国は)国際約束をほごにした。日本もやるべき時はやる」と安倍首相が明言したように、安倍政権による一連の輸出規制強化は、徴用工問題が背景にある。そして韓国に対し強硬姿勢をとることで、参院選での消費税や年金といった争点を隠すとともに、国民へのアピールにつなげる目的があったともいえる。

しかし、徴用工問題は、日本の戦争犯罪をめぐる人権問題であり、政治的対立の解決のために貿易上の措置で報復するのは、政経分離を踏みにじる禁じ手だ。安倍首相があおりにあおった結果、日韓関係は最悪と言われるまでになった。日韓の民間団体による調査では、韓国に好印象を持つ日本人が過去最低の20%に落ち込んだ。報道各社の調査では、「ホワイト国」からの韓国除外について、「妥当だと思う」人が6割を超え、安倍政権の支持率が上昇している。安倍政権の韓国たたきに乗せられ、多くの国民が喝采を叫んでいる。

対韓強硬措置は、日本経済に打撃となるだけでなく、スポーツや子どもたちの交流、観光にも影響が出始めている。慰安婦を象徴する「平和の少女像」を展示した「表現の不自由展・その後」が公権力による介入や脅迫予告などに屈して中止に追い込まれ、表現の自由も損なわれている。憎悪で人心をあおり、支持を集める安倍政権の下で、日韓関係は修復不能になりかねない。日韓両国の対立が増している今だからこそ、両国政府の冷静な対話とともに、国民同士の相互理解と交流を深めていくことが求められている。

(社会新報2019年8月21日号・主張より)