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憲法審査会 国民投票に道を開くべきではない

カテゴリー:社会新報 投稿日:2019-07-10

安倍首相は、参院選の争点について「憲法の議論すらしない政党を選ぶのか、議論を進めていく政党を選ぶのか」と述べた。先の通常国会で憲法審査会における自民党改憲4項目の提示はおろか、国民投票法(改憲手続き法)の改正も進まなかったことへの意趣返しともとれる見解だ。

だが、なぜ審査会での議論は進まなかったのか。自民党の狙いが、改憲国民投票に際しての有料意見広告の総量規制(改憲案に対する賛否の勧誘以外は現状自由だが、民放連は自主規制を否定)を含む自由討議を行ない、その中で4項目提示の実績を作ることにあるのは、見透かされていた。

その野党側の懸念を裏打ちしていたのが、他でもない首相の言動自身だ。首相は自衛隊観閲式の場などで憲法9条への自衛隊明記に事実上言及し、「これは今を生きる政治家の責任」と自負。このことは憲法99条の憲法尊重擁護義務違反との指摘に対し、国会答弁で自ら否定した。この首相の下で憲法論議の誘い水に乗ることは極めて危険との判断は実に常識的なものだ。

それはそうとしても、国民投票法の「公選法並び」の改正にかたくなになる必要はあるのかとの疑問もあろう。しかし、国民投票法の抱える問題点は、そうした部分的見直しでは解消されない本質的なものだ。07年法制定時の参院付帯決議には、よく知られている最低投票率制度に関する検討や、公務員・教育者の地位利用運動規制について禁止・許容行為の明確化が盛り込まれたが、全く行なわれていない。またテレビ・ラジオ有料CMについて「公平性を確保するためのメディア関係者の自主的な努力」の尊重もあったが、民放連が自主規制を実施しないとしているのは周知のこと。

さらに14年の法改正時には、付則に「公務員による企画、主宰および指導並びにこれらに類する行為に対する規制のあり方」についての検討と必要な法制上の措置が盛り込まれ、改憲反対運動を強くけん制する一方、最低投票率や有料CM規制に関して07年に続いて付帯決議が採択されたものの、相変わらず今日まで放置され続けている。

すなわち、国民投票法は国民投票・改憲手続きの公正・中立性に関わるかなり根幹の部分について重大な問題を有しており、抜本的な見直しが必要だということだ。特にCM規制の問題は昨日今日浮上したものではなく、現状のままでは国民投票などあり得ない。

(社会新報2019年7月10日号・主張より)