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憲法コラム

第96回(7月29日):照屋寛徳 議員

沖縄の「戦後ゼロ年」と集団的自衛権

旧日本兵の遺骨発見現場にて=7月28日、浦添市前田

旧日本兵の遺骨発見現場にて=7月28日、浦添市前田

《写真》旧日本兵の遺骨発見現場にて=7月28日、浦添市前田

 遺骨収集ボランティア団体「ガマフヤー」(壕を掘る人)の具志堅隆松代表から、秘書を介し、「旧日本兵の遺骨を発見したので、現場視察に来てもらいたい」との連絡を受け、直ぐに出かけた。

 旧日本兵の遺骨発見現場は、浦添市前田の道路拡張工事現場である。炎天下、手掘り作業による「ガマフヤー」の皆さんの丁寧な作業で、うつぶせの状態の旧日本兵の遺骨1体が現われた。遺骨は、地下足袋を履いた状態で、銃剣を携え、鉄かぶとをかぶった頭蓋骨の一部、大腿骨、歯なども見つかった。遺骨周辺からは、「田畑」と刻印された木製の印鑑、水筒、財布(1941年製造の小銭が入っていた)、陸軍用時計など、多数の旧日本兵とその遺族を特定し得る品物も発掘された。沖縄戦当時、浦添市前田地区に配属されていた部隊名も判っており、厚労省にすみやかなDNA鑑定を要請し、一刻も早く、遺族の元に遺骨を帰してあげたい。

 私は、「戦争責任に時効はない」との考えだ。

 「戦後」何十年が経過しようと、国の責任で旧日本兵に限らず、民間の戦死者を含めて、収骨された遺骨を、遺族へ帰してあげるべきだ。

 一方、宜野湾市我如古の住宅地で見つかった米国製250キロ不発弾が、7月28日、自衛隊により現場処理された。同不発弾処理により、現場から半径288メートル内の692世帯、70事業所の1,645人が避難した。

 「鉄の暴風」と称される沖縄戦で投下された爆弾は約20万トンだと言われている。そのうち、約5%、約1万トンが不発弾だ。「戦後」68年が経過したが、沖縄には、未だに約2,518トンの不発弾が地中にあり、現在のペースで発見、処理を進めても、全ての不発弾処理までに、今後約70年を要する、と見込まれている。

 「不発弾を枕に眠る沖縄」の日常は、まさに「戦後ゼロ年」(芥川賞作家・目取真俊)である。

 さて、参議院選挙で圧勝した自民党安倍総理が、改憲の意思を鮮明にした。7月27日には、訪問先のマニラで記者会見し、「集団的自衛権の行使容認に向け検討作業を進めて行く」と表明した。防衛省は、安倍総理の指示で今年末にも新防衛大綱を策定する。一方、安倍総理の私的諮問機関である「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」は、8月から集団的自衛権に関する議論を再開するようだ。

 集団的自衛権とは、「同盟国など自国と密接な関係にある外国が攻撃されたとき、自国が攻撃されていないにもかかわらず、これを自国への攻撃と見なして反撃する権利」である。歴代政権は、集団的自衛権について、現行憲法9条を根拠に、「保持していても行使できない」と解釈してきた。戦争放棄、戦力の不保持、交戦権の否認を謳った憲法第9条を素直に読めば、歴代政権の解釈は正しい。

 安倍総理の集団的自衛権行使容認への解釈変更は、実質的な「9条改憲」だ。よく言われるように、日本を同盟国アメリカと一緒になって、「戦争のできる国」へと変えることだ。

 旧日本兵の遺骨が発見され、日常的に不発弾が発見される沖縄の「戦後」は終わっていない。にもかかわらず、安倍総理によって新たな「戦前」が始まろうとしている。安倍総理の改憲策動による「戦争国家」政策推進によって、である。

 たしかに、去る参議院選で安倍自民党は圧勝した。だが、安倍総理が目論む改憲を必ずしも国民は望んでいない。毎日新聞社が、7月27、28日の両日に実施した全国世論調査で、安倍総理に一番に取り組んでほしい国内課題で、「景気回復」が35%で最多、「憲法改正」は3%で最低だ。集団的自衛権について、行使できるようにした方がいいと「思う」人は36%、「思わない」人は51%である。安倍総理よ、しかと肝に銘ぜよ!

(2013年7月29日 社民党衆議院議員 照屋寛徳)


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