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憲法コラム

第95回(7月26日):照屋寛徳 議員

改憲政党の「裏口入学」と民意とのねじれ

照屋寛徳

 素直に告白すると、憲法を勉強するようになってから半世紀の間、改憲派学者や政治家との論争に加わった事は、ほとんど皆無に近い。

 その理由について自省するに、一番目の原因は、沖縄には改憲派を標榜する学者がいないことである(但し、私の知る限り)。二番目に、改憲派を自称する政治家も少なく、論争の場がなかったことがある。その間、意識的に避ける気持ちは全くなかった。

 一度だけ、2004年6月に自民党旧憲法改正草案(論点整理)が発表された後に、地元マスコミが主催した公開討論会で、自民党改憲派国会議員と論争したことを記憶している。

 そんな私でも改憲派憲法学者の小林節氏(慶応大教授)の存在は知っていたし、著書も読んでいた。ただ、直接に講演を聞く機会はなかった。小林教授の講演を初めて聞いたのは、超党派議連「立憲フォーラム」の勉強会であった。小林教授の講演は、護憲派を自称する政治家より格段に上手だ。わかり易い。論旨明確だ。

 私は、小林教授の近著『白熱講義!日本国憲法改正』や論文等を読み、講演を聞いて、「96条先行改憲」の危うさや立憲主義の大切さの認識を一層深めることになった。

 その小林教授は、『週刊金曜日』(7月5日号)で憲法96条改正問題について、次のように語っている。

 「改憲を目的とする政党でありながら、自民党は国民を説得してこなかったし、明治憲法に戻りたいという郷愁丸出しの内容で国民に受けなかった。その反省がないから『改憲の条件はなぜこんなに厳しいのか』と96条のせいにしているのです。勉強するのが嫌で裏口入学するのと同じ。おごりと焦りが見えます」、と。

 安倍総理や改憲派国会議員らの集団「裏口入学」か?「裏口入学」とは、皮肉の効いた見事な比喩(ゆ)だ。

 一方で、小林教授は「護憲派は論争慣れしていないですね。内輪で議論して『憲法を守ろう』とやっていた。でも本来は、憲法を破壊しようとする権力に対してこそ『守れ』と言わなくちゃならない」と手厳しい。護憲派の一人として、反省、反省だ!

 さて、7月24日付の地元紙に共同通信の配信で注目する記事を見つけた。共同通信社が参議院選挙直後の22、23両日に実施した全国緊急電話世論調査の結果についてである。

 記事によると、安倍内閣の支持率は56.2%で、前回6月調査の68.0%から11.8ポイント急落し、不支持率は31.7%で前回(16.3%)から急増している。

 注目したのは、参議院で憲法改正に積極的な政党の議員が改憲発議に必要な3分の2に達しなかったことに関し、改憲を目指す自民党支持層でも21.1%が「よかった」と答え、「よくなかった」15.5%を上回っていることだ。日本維新の会支持層では「よかった」が23.3%、「よくなかった」17.1%、みんなの党支持層は「よかった」35.3%、「よくなかった」19.2%である。改憲派と護憲派が同居する民主党支持層でも「よかった」47.9%、「よくなかった」16.9%である。「加憲」の公明党支持層では「よかった」24.2%、「よくなかった」21.2%である。

 私は、先に「参議院沖縄選挙区では『護憲派』が『改憲派』に勝った」と書いた。参議院選挙は、沖縄選挙区と岩手選挙区以外は、自民党が圧勝した。だが、共同通信社の電話世論調査結果に見る限り、自民党の圧勝は、国民の改憲への白紙委任でないことが明らかだ。「衆参ねじれ」は解消されたが、改憲問題についての、自民党及び改憲政党と、国民の民意はねじれたままだ。改憲への自民党の「裏口入学」は国民の多くが許さないだろう。そのような国民の世論形成に向け、尽力することを決意した。

(2013年7月26日 社民党国対委員長 照屋寛徳)


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