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憲法コラム

第94回(7月22日):照屋寛徳 議員

沖縄選挙区では「護憲派」が「改憲派」に勝った

照屋寛徳

 7月21日に投開票された第23回参議院選挙の争点は、「衆参ねじれ」解消だ、とマスコミ等で喧伝された。一方、参議院選挙の争点は、いくつもあったが、政権の側から巧妙な争点隠しもあり、政策の争点よりも、「衆参ねじれ」解消の是非が焦点として国民の注目をあびた。残念だ。

 焦点と争点は違う。焦点とは、「注意・関心が集まる中心点や問題点」であり、争点とは、「争いになっている重要な点」である(新明解国語辞典・第六版)。

 私は、二院制の下における民意の反映の結果としての、「衆参ねじれ」は大いに結構なことだ、と考える。参議院は「良識の府」として、憲法上優越権を持つ衆議院をチェックし、監視する役割を担っている。「衆参ねじれ」があるから、「決められない政治」になる、と言うのは、単なる時の政権政党の言い掛かりだ。「熟議の国会」の自己否定だ。

 だが、7月21日の参議院選挙の結果、自公政権の圧勝により、「衆参ねじれ」は解消された。今後は、「決められない政治」どころか、国権の最高機関、「言論の府」たる国会審議は、一層形骸化し、安倍政権が暴走するに違いない。

 安倍政権の暴走で心配するのは、憲法改悪の動きだ。「衆参ねじれ」解消で、自民党は「日本国憲法改正草案」に基づき、憲法第96条先行改憲による発議要件の緩和を突破口にしてくるに違いない。憲法第9条などの個別条文の改正(悪)にとどまらず、現行憲法の原理・原則を全て変え、大日本帝国憲法の原理・原則へのクーデター的な転換を目指していくだろう。これぞ、まさしく自民党による自主憲法制定という名のクーデターであり、革命である。

 さてさて、参議院選挙の焦点と争点の話に戻る。今度の参議院選挙沖縄選挙区の争点は、明白だった。沖縄選挙区の糸数けいこ候補(社大党公認、社民党・共産党・生活の党・みどりの風推せん)は、憲法96条先行改憲、9条改憲に明確に「反対」を公約に掲げた。一方の、自民党公認(公明党推せん)候補は、改憲「賛成」の公約を掲げていた。自民党は、安倍総理、石破幹事長、現職・元閣僚、若手国会議員らを総動員し、権力と金力、振興策の利益誘導で、「護憲派」で「平和の一議席」をキャッチフレーズにする糸数けいこ候補を落選に追い込もうと躍起になった。安倍政権による沖縄選挙区攻勢は、異様な程、執拗で陰険であった。

 結果、「護憲派」の糸数けいこ候補が3期目の当選を果たした。沖縄は、安倍政権の改憲策動にノーの審判を下したのだ。

 糸数けいこ候補の得票は、29万4,420票、相手自民党公認(公明党推せん)候補は、26万1,392票である。その差、実に3万3,028票、大勝利である。

 糸数けいこ候補当選を報ずる地元紙琉球新報の大見出しは、「辺野古、改憲にノー」、沖縄タイムスの見出しは「改憲・新基地に歯止め」である。糸数けいこ候補は、参議院選挙の争点、政策の対立軸について、有権者に具体的に公約し、訴えた。憲法改悪反対、普天間飛行場の辺野古移設反対、TPP参加反対、消費増税反対、脱原発等である。特に、悲惨な沖縄戦を体験し、今なお膨大な米軍基地の負担と犠牲に苦しむ県民に、憲法96条先行改憲、憲法9条改憲反対を明確に訴えた。従って、糸数けいこ候補の当選は、「護憲派」が「改憲派」に勝ったことになる。憲法改正(悪)問題や在沖米軍基地問題を明確に争点にした上でのウチナーの審判だ。沖縄の民意に反する憲法改正(悪)は、断じて許されない。

(2013年7月22日 社民党国対委員長 照屋寛徳)


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