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憲法コラム

第61回(5月27日):照屋寛徳 議員

憲法から基本的人権が消える日

照屋寛徳
5月23日「立憲フォーラム」勉強会にて、小林教授=右=の講演を聞く照屋=左手前=

 登山家三浦雄一郎さんが、80歳の世界最高齢で世界最高峰のエベレスト登頂を達成した5月23日、永田町で「憲法96条改憲」を巡る二つの重大な動きがあった。

 一つ目は、「憲法96条改憲」の先行実施に反対する憲法学・政治学の研究者らでつくる「96条の会」の発足会見である。結成された「96条の会」には、護憲派だけでなく、改憲派憲法学者の小林節慶応大教授らも参加している。

 「96条の会」発足会見で樋口陽一東大名誉教授は「憲法改正権(96条)によって、その条文自体を変えるのは、法論理的に無理な話」と述べ、山口二郎北海道大教授は「96条の争点化は前代未聞で、保守政治の劣化だ」と語っている(5月24日付東京新聞)。

 二つ目は、同日の超党派議連「立憲フォーラム」における改憲派憲法学者小林節教授の講演だ。小林教授は、講演で「憲法を語る基礎知識に欠ける人々が論争を先導してきた悲劇」を述べ「それを放置してきた護憲派の責任も重い」と鋭く指摘した。そのうえで、小林教授は「『憲法を国民に取り戻す』と言いながら、権力者が国民を利用しようとしている」と安倍総理を批判した。小林教授は、国民の義務規定を増やした自民党の憲法改正草案についても「憲法は国民ではなく権力者を縛るもの、という立憲主義を理解しておらず、議論にならない」と論破した。私は、小林教授の著書は読んだ事があるが、講演は初めて聞いた。5月23日の二つの動きを通して、今や、「憲法96条改憲」反対は、護憲派、改憲派を超えた感を抱いた。

 おっとっと、いつもの如く脇道にそれた。今日のテーマは、憲法と基本的人権だ。

 日本国憲法第97条は「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」と基本的人権の本質を明定する。

 一方、自民党「日本国憲法改正草案」では、日本国憲法第97条が全文削除され、自民党のQ&Aでもその理由を明かさない。

 日本国憲法第11条は「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる」と明定する。日本国憲法第11条と第97条は、基本的人権の定めとして不離一体のものである。

 とまれ、基本的人権の歴史やその固有性、不可侵性、普遍性などの観念については、機会を改めて書く。基本的人権が保障されていない沖縄の現状についても都度書くつもりだ。

 自民党「日本国憲法改正草案」を読む限り、「96条改憲」で立憲主義を破壊し、「97条全文削除」で基本的人権を否定し放棄するつもりらしい。嗚呼、恐ろしい。その日が到来すると、日本は世界の先進国と価値観を共有しえない独裁国家となるに違いない。

(2013年5月27日 社民党衆院議員 照屋寛徳)


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