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憲法コラム

第52回(5月15日):吉田忠智 議員

働く仲間の尊厳を守ることは憲法を活かすこと

吉田忠智

 最近、「ブラック企業」という言葉を聞く機会が増えました。若者を過酷な労働環境で使い、うつ病や過労死・過労自殺に追い込むような企業のことです。

 例えば、「月の時間外労働が80時間を超えない者には残業手当を支給しない」とする「固定残業代」制度や「名ばかり管理職」など、タダ働きと長時間労働を強要する会社、パワハラ・セクハラなどの劣悪な人間関係、「追い出し部屋」への異動など違法な退職勧奨や解雇等々、様々な「手法」が開発されています。

 職場が丸ごと「ブラック」でなくとも、こうした事例が生じる、一部が「ブラック化」した企業は、残念ながら珍しくなくなりました。また、同じ仕事に正規/非正規という分断を持ち込み、職場の一部を「ブラック化」しているという点では、派遣・パート・期間工・契約社員や国・地方自治体の非常勤職員といった非正規雇用も、制度化された「ブラック化」と言えるかもしれません。

 最初はヒトラー支持者だったが、ナチに弾圧され強制収容所に送られた、マルティン・ニーメラー牧師は、「彼らが最初共産主義者を攻撃したとき/私は声をあげなかった/私は共産主義者ではなかったから。/(略)そして、彼らが私を攻撃したとき/私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった。」という詩を残しています。

 大げさかもしれませんが、今の雇用の劣化状況が、解雇自由の「限定正社員」や解雇の金銭解決など正社員をターゲットとする規制緩和論に及んでいるのを見るにつけ、この詩を思い出さずにはいられません。「ブラック企業」を許さず、非正規の待遇を改善すること、雇用の劣化を防ぐことは、正社員・正職員を含めた「働くことを軸とした安心社会」の出発点です。改憲なんて、とんでもないことです。憲法27条の「労働の権利」を守り、憲法13条の「個人の幸福追求権」を実現することこそ、求められています。

(2013年5月15日 社民党参議院議員 吉田ただとも)


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