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憲法コラム

第22回(4月11日):吉田忠智 議員

TPPと日本国憲法

吉田忠智

 安倍総理は、危惧されたとおり、オバマ大統領との日米首脳会談において、「聖域なき関税撤廃を前提としないことを例示的に確認した」と述べ、TPP(環太平洋経済連携協定)に参加することを表明しました。そもそも、いままでにない「例外なき関税撤廃」「規制緩和の徹底」を目指すTPPでは、「すべての関税は撤廃するが、7〜10年程度の猶予期間は認める」との方針が合意されています。しかも、すでに日本は手続き的にルール作りに参加できません。シンガポールで開催されたTPP交渉第16回会合を受けた米通商代表部のプレスリリースでは、すでに一部分野(関税、通信、規制、開発など)の交渉は終了しており、「部会は開かれない」と明記しています。今後は、7月までに参加各国との二国間協議を終了、9月の交渉会合の初参加、10月のAPECで批准のスケジュールとなっており、9月の会合までには、すでに協定書のツメは終了しています。合意済みの内容について、日本からの再交渉の要求はできません。また、交渉打ち切りの権利は当初からの9カ国に限られることが明らかになっています。

 安倍内閣は、日本の要求がほとんど受け入れられないことを承知で、米国の不当な参加要求に応えるために、TPPに参加することを決めています。このままでは、農林水産業をはじめ食の安全、環境、医療、労働、保険、金融、公共調達など国民生活の隅々まで深刻な影響を及ぼすことが懸念されます。米国の言う「競争条件の平準化」の名の下に相互扶助制度や組織(国民健康保険、共済、生協、農協、労働組合、様々な安全基準)を、国境を越えた自由な企業活動の「非関税障壁」として破壊してしまうものです。まさに、日本国憲法の理念が問われています。

(2013年4月11日 社民党 政策審議会長 吉田忠智)


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