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憲法コラム

第196回(3月18日):照屋寛徳 議員

「壊憲」に抗い 不戦と護憲に生きる

「壊憲」に抗い 不戦と護憲に生きる

 今日の憲法コラムの表題「『壊憲』に抗い 不戦と護憲に生きる」は、最近私が上梓した著書名である。1995年7月の参議院議員初当選いらい揺るがぬ国会議員としての信念、決意でもある。

 最近になって、安倍総理の憲法に対する信念と決意も明白になった。

 安倍総理は「在任中の改憲」にただならぬ意欲を示している。来る7月予定の参議院選挙で、自民党・公明党の巨大与党と野党の一部改憲勢力と糾合し、改憲(以下「壊憲」という)の発議に必要な3分の2の議席獲得に向けた決意を公言して憚らないのだ。

 7月の参議員選挙(ここへきた衆参同日選挙の可能性も高まってきた)は、ほぼ間違いなく憲法改正問題(本質は「壊憲」だ)が最大の争点になるであろう。

 もしかしたら、安倍総理の常とう手段とも言うべき「巧妙な世論操作」によって、最大争点を隠し、参議院選挙勝利後に「壊憲」へと暴走する算段かもしれない。いずれにせよ要注意、要監視だ。

 私が安倍総理の「在任中の改憲」に論及するのには根拠がある。決して、思いつきで言っているのではない。それについては衆参予算委員会の場で議論され、多くのマスコミが報じている通りだ。

 自民党規約によると、安倍総理の任期は2018年9月までである。衆議院における小選挙区制導入から久しい中、自民党内の異論は封殺され、同党国会議員も政治家として劣化している。今や独裁者たるアベ総理(自民党総裁)の前では多くの者が「蛇に睨まれた蛙」なだけに、党規約改正による任期延長も予想されるが、現規約に従えば今回が最後の参議院選挙となる。安倍総理にとっては「在任中の改憲」に向けた環境整備(「壊憲」勢力による衆参両院での3分の2議席確保)のチャンス到来だ。きっと「伝家の宝刀」である衆議院解散も虎視眈々と狙っているのだろう。

 話は変わるが、去る3月2日付「参議院予算委員会速記録(未定稿)」を精読してビックリ仰天した。以下、抜粋する。

●大塚耕平議員(民主党)
 総理は、在任中に憲法改正をしたいというふうにお考えでしょうか。

●安倍総理
 憲法改正については、自由民主党は今年で立党61年を迎えるわけでありますが、立党当初から党是として憲法改正を掲げているわけでございまして(略)さきの総選挙でも訴えているわけでございますから、それを目指していきたいと、こう考えております。

●大塚議員
 在任中に憲法改正を成し遂げたいとお考えですか。

●安倍総理
 (略)私も、私の在任中に成し遂げたいと、こう考えておりますが・・・(以下略)

 ご覧の通り、大塚議員への答弁の中で、安倍総理は「在任中の改憲」を豪語しているのだ。そのためには与党だけでなく、一部野党の「壊憲」勢力(自民党の補完勢力)の協力も得ての3分の2議席獲得が必要だ、とも答えている。

 では、安倍総理や「壊憲」勢力は、何を突破口にして「壊憲」を実現しようとしているのか。

 私が衆議院憲法審査会に所属していた数年前から言われていたのは、国家緊急権(緊急事態条項)、環境権、財政規律条項の創設―等である。

 安倍総理と「壊憲」勢力の本命は、自民党「日本国憲法改正草案」(2012年)に基づく憲法9条改悪(「国防軍」創設)、憲法前文の全面書き換え―などにあるのだろうが、まずは国民を「壊憲」手続きに慣らす「お試し改憲」を優先しているのだ。その筆頭が国家緊急権創設にあるのは間違いない。

 去る3月11日、東日本大震災・福島第一原発事故から5周年の節目を迎えた。あの大惨事から5年、大地震と大津波、原発事故による被災・被害からの復興は道半ばだ。「人間の復興」もまだまだ実現していない。

 「壊憲」勢力は、東日本大震災の生々しい記憶が多くの国民の脳裏に焼き付いている中、それを「お試し改憲」のために悪用せんと企んでいるのだから質(たち)が悪い。やり方が姑息すぎる。

 芦部信喜『憲法(第5版)』(岩波書店、2011年)は、国家緊急権について次のように論述している。

 「戦争・内乱・恐慌・大規模な自然災害など、平時の統治機構をもっては対処できない非常事態において、国家の存立を維持するために、国家権力が、立憲的な憲法秩序を一時停止して非常措置をとる権限を、国家緊急権という」―と。

 要するに、国家緊急権とは、立憲的な憲法秩序の一時停止(永久にかもしれない)によって、執行権者(内閣)に権力を過度に集中させ、人権を制約するものである。それ故、たとえ「お試し改憲」であろうと、絶対に認められない。

 安倍総理は、先の「戦争法」強行成立によって、この国の平和主義と立憲主義、民主主義を破壊したばかりだ。今また国家緊急権発動のための「お試し改憲」で「壊憲」し、この国を根本からずたずたに破壊せんとしている。

 安倍総理と一部野党を含む「壊憲」勢力の企みを打ち砕くため、今何が政治に求められているのか。

 立憲主義を回復するために「戦争法」廃止、反原発(原発再稼働反対)、辺野古新基地建設反対、労働法制改悪反対、反貧困・格差是正―などの基本政策で野党が結集し、国会内外での共闘、幅広い市民との連帯を早急に創り出すことだろう。

 7月の参議院選挙が刻一刻と迫っている。現下の政治状況にあって「自民党1強体制」を崩さない限り、真の民主主義は確立できない。巨大与党に対峙し、「壊憲」勢力に楔を打ち込むためには、大胆な選挙協力が大切だ。各野党が党利党略にとらわれるようなことがあってはいけない。

 今日の憲法コラムでは、国家緊急権(緊急事態条項)に絞って言及したが、昨今の政治状況自体が、この国の立憲主義、それに支えられる日本国憲法の三大原理である「平和主義」「国民主権」「基本的人権尊重主義」にとって緊急事態、非常事態であることも付言しておきたい。

 安倍総理の「任期中の改憲」を阻止すべく、みんなで声を挙げ、創造的行動に立ち上がろう。

 結びに、表題の拙著をご一読ください。定価1,500円を1,200円(送料当方負担)で販売しております。購入希望の方は、私の国会事務所(03-3508-7069)までお電話ください。

(2016年3月18日 社民党衆議院議員 照屋寛徳)

 

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