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憲法コラム

第192回(10月21日):照屋寛徳 議員

野党の臨時国会召集要求は憲法上の少数派の権利

【写真】
野党国対委員長で大島議長に申し入れ=21日午前、衆院内

野党国対委員長で大島議長に申し入れ=21日午前、衆院内

 野党5党は去る10月19日、幹事長・書記局長会談を開き、速やかに臨時国会を召集するよう与党に求めることで一致した。(私はこの会談に又市幹事長に代わって出席した)

 野党5党は、臨時国会を開会する必要性について、(1)TPP大筋合意の内容や交渉経緯(2)第三次安倍改造内閣の新閣僚らの所信表明(3)「戦争法」の参議院における不法・不当な強行採決(4)翁長沖縄県知事の辺野古埋め立て承認取り消しと国の法的対抗措置(5)原発再稼働(6)閣僚の不祥事―など山積する問題について、臨時国会を早急に開き、国権の最高機関たる国会(憲法第41条)で審議を尽くし、国民に対する説明責任を果たすべき、との認識で一致したのである。

 翌10月20日、野党の要求に応じる形で、与野党幹事長・書記局長会談が開かれた。その席上、前日の野党側会談で確認された内容に基づき、与党側の自公幹事長に対し、臨時国会召集要求がなされた。

 対する谷垣禎一自民党幹事長からは(1)総理の外交日程が詰まっており、審議日程の確保が困難であること(2)野党各党の要求は「承った」上で、官邸と相談・調整する―との趣旨で返答があった。

 私からは、野党の共通課題とは別に沖縄に引き付けて(1)島尻沖縄担当大臣の公選法違反疑惑(2)辺野古新基地建設問題―についても臨時国会を開いた上で、徹底的に審議すべし、と訴えた。

 そもそも、政府・与党は「戦争法」審議のため大幅延長された通常国会の閉会直後から、秋の臨時国会は開く必要がない、との姿勢を示していた。第三次安倍改造内閣の組閣直後に、新大臣の不祥事やスキャンダルがマスコミを通じて露見し、困ると、一層頑なに臨時国会開会拒否の姿勢を強めた。

 「一強多弱」の国会にあって、安倍独裁総理による政権延命、疑惑隠しのための国会審議サボタージュ作戦である。断じて許せない。

 10月21日午前、野党5党(一部無所属議員を含む)は、125名連名による臨時国会召集要求書を大島理森衆議院議長に共同提出した。(同様に、同日午後、参議院でも共同提出された)

 憲法及び国会法は、国会の活動形態として「常会」「臨時会」「特別会」の三種類を定めている。それぞれ、「通常国会」「臨時国会」「特別国会」と呼ばれている。

 憲法第53条は「内閣は、国会の臨時会の招集を決定することができる。いづれかの議員の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」と規定する。

 野党5党は「速やかな」臨時国会召集を求めているものの、召集期日の指定まではしていない。憲法学者の間でも、召集期日の指定に内閣は拘束されないが、さりとて相当な期間(せいぜい2〜3週間)のうちに召集を決定すべき、とするのが多数説である。

 従って、総理の外交日程の都合上、審議時間の確保が困難である、との理由により、国会召集要求を退けるのは屁理屈でしかない。憲法第53条に定める少数派国会議員の召集要求権を無視するもので、明白な憲法違反である、と断ぜざるを得ない。

 私は、21日の議長申し入れの際、次のように発言した。

 「憲法第53条に基づく臨時国会召集要求は、非常に重たいものである。自民党は先に発表した『日本国憲法改正草案』の中で、憲法53条を改正し、いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があったときは、要求があった日から20日以内に臨時国会が召集されなければならない、と定めている」―と。

 私の発言は、大森議長による政府与党への注意喚起と少数野党への配慮を求めたものである。(自民党と安倍内閣への毒のこもった皮肉でもあったが・・・)

 自民党作成の「日本国憲法改正草案Q&A」は、憲法第53条改正について、次のように記している。

 「(憲法)53条は、臨時国会についての規定です。現行憲法では、いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣はその召集を決定しなければならないことになっていますが、臨時国会の召集期限については規定がなかったので、今回の草案では『要求があった日から20日以内に臨時国会が召集されなければならない』と規定しました。党内議論の中では、『少数会派の乱用が心配ではないか』との意見もありましたが、『臨時国会の召集要求権を少数派の権利として定めた以上、きちんと召集されるのは当然である』という意見が、大勢でした」。

 う〜ん。なるほど、なるほど。私は、安倍流「壊憲」には反対だ。自民党「日本国憲法改正草案」にも反対で、この間強く批判してきたものである。

 だが、読み返してみると、自民党による憲法第53条改正案は「いいね!」。

 安倍総理、菅官房長官、谷垣幹事長よ、よもや自民党「日本国憲法改正草案」(2012年4月27日)を知らぬ存ぜぬとは言うまい。忘れてはおるまい。

 然らば、「酢のコンニャク」などと言わず、憲法上の少数派国会議員の権利を尊重し、早急に臨時国会を召集せよ。

(2015年10月21日 社民党衆議院議員 照屋寛徳)

 

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