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憲法コラム

第190回(8月6日):照屋寛徳 議員

辺野古関連作業の1カ月停止と「集中協議」のもつ政治的意義

【写真】
「辺野古座り込み1周年アクション」で挨拶=7月18日、キャンプ・シュワブゲート前
「戦争法案は廃案へ!県民集会」に参加=7月31日、沖縄県庁前県民ひろば

沖縄選出野党国会議員で百田氏発言に抗議声明発出・記者会見

 猛烈な台風13号が沖縄地方に接近中との天気予報が刻々と伝わる中、8月4日午前9時30分過ぎに「あっと驚く」政治ニュースが飛び込んできた。

 「あっと驚く」政治ニュースとは、当日昼のテレビニュースを皮切りに、夕刊各紙が一面で報じ、翌朝の地元二紙と中央各紙が詳報している政府と沖縄県との1カ月にわたる「集中協議」期間の設定と、その間の辺野古埋め立て関連作業の全面停止である。

 私がこのニュースに接したのは、沖縄県議会与党第1会派「社民・護憲ネット」会派長であり、与党連絡会座長を務める仲宗根悟県議からの「合意文書」メモを秘書経由で受け取ったときである。直後に共同通信、琉球新報、毎日新聞記者らの取材攻勢を受け、菅官房長官と翁長知事の記者会見内容の詳細を知った。

 私は、菅官房長官と翁長知事が同時発表した1カ月限定の「集中協議」と「辺野古埋め立て作業中止」「沖縄県による埋め立て承認取り消し等の新たな法的・行政的手続き停止」などの合意について、政府、県それぞれの政治的思惑や意義について、完璧に知り得る立場にない。事前交渉に関する情報の詳細も当然知らない。

 発表当日、地元二紙からの求めに応じて、次のようにコメントした。

 「集中協議期間設定に伴う作業停止は、持続的な辺野古新基地反対運動の成果だ。政府は戦争法制反対による支持率低下の挽回策と絡めて手を打った。知事は公約を堅持し、正論をもって辺野古断念を説くべし」―と。

 コメントは100字足らずの短いもので、この問題に対する私の評価が言い尽くされている訳ではない。以下、コメントを敷衍して主張を述べることとする。

 まず、普天間基地の辺野古移設(実態は巨大な新基地建設)が「唯一の解決策」「この夏までに埋め立て着工」などと豪語し、国家権力を最大動員して埋め立て作業を加速していた政府が、1カ月とはいえ作業の全面停止に踏み切ったのは、辺野古・大浦湾海上とキャンプ・シュワブゲート前で、新基地建設反対の強い意思を堅持し、果敢に闘い続ける県民運動の「成果」であることは間違いない。

 ただ、「成果」ではあるが「勝利」ではない。一時的な「政治休戦」にすぎない。

 従って、最終的な「勝利」は、政府が辺野古新基地建設を断念したその時であり、そこへ追い込むまで闘いを持続しなければならない。

 次に、この期に及んで、なぜ政府が期限付きの「集中協議」と関連作業の全面停止に踏み切ったのか、である。

 地元二紙や中央紙、識者の評論、私のコメントにも書いたよう「戦争法案」の衆議院強行採決や安倍総理側近らの相次ぐ不適切・不穏当な暴言等による内閣支持率の急速な低下を受け、「夏までの埋め立て着工」による政権批判の強まりと一層の支持率低下を懸念したパフォーマンスである、と見て間違いなかろう。政府として沖縄の主張に耳を傾ける姿勢をアピールせんとの思惑が見え見えだ。単なる「アリバイづくり」との穿った見方があるのも頷ける。

 その証拠に、菅官房長官は4日の記者会見で、「集中協議」の場で「政府の普天間の危険除去と辺野古移設に関する考え方、そして全体の負担軽減について説明したい」とオウム返しのように語っている。

 一方で、翁長知事が「8月下旬から9月上旬」にも仲井真前知事による辺野古埋め立て承認「取り消し」を決断する―との政治日程も政府の判断に影響したであろう。

 私は、政府と沖縄県との「集中協議」の必要性を否定するものではない。

 同時に、現時点で政府に辺野古新基地建設を断念し、「県外・国外移設」による普天間基地の即時閉鎖・返還を真剣に追求しようとの意思(方針)が皆無であることも明確に捉えておきたい。

 「集中協議」期間中、沖縄県関係部局は、先に第三者検証委員会が「法的瑕疵(かし)」有りとしてまとめた報告書を精査し、予想される法廷闘争の準備を怠りなくやることが肝要だ。翁長知事を支える県議会与党議員や各市町村議員、市民らは、身体を休めても気は抜くことなく、辺野古現地における「次なる闘い」に備える必要がある。

 私は、今年の春先から「戦争法案」反対と辺野古新基地反対の闘いは深く繋がっており、二つの闘いを連動させて勝利することが「戦後70年」にわたって享受してきた平和と民主主義、憲法と立憲主義を守り、沖縄への構造的差別を打破することになる、と機会あるごとに訴えてきた。

 その思いは日増しに強くなる。二つの闘いは「人を殺し、殺される」戦争を拒絶する具体的な闘いだ。不戦を誓い、護憲に生きる決意と覚悟の闘いである。

 「集中協議」にあって、翁長知事には自信を持って「辺野古新基地建設阻止」の公約を堅持し、正論で政府に迫ってほしい。沖縄の戦後史と現状に照らし、歴代政権の不条理と政治の不作為を厳しく指摘のうえ、論破してもらいたい。

 正義は沖縄にある。ジュゴンが回遊し、生態系多様な生命の母なる辺野古の美ら海・大浦湾を破壊して、海兵隊がイクサ(戦争)をするためだけの辺野古新基地建設を断固阻止しなければならない。

 辺野古新基地建設反対も戦争法案反対も、そして「アベ政治を許さない」運動も、すぐれて憲法の平和主義、立憲主義を破壊せんとする「壊憲」勢力との闘いだ。アベ独裁政権打倒の闘いだ。

 最後まで諦めない者が勝つ、と信じて―。

 今日の憲法コラムはいつもと調子が違うが、多くの人に読んでもらいたい、と切に願う。

(2015年8月6日 社民党衆議院議員 照屋寛徳)

 

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