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憲法コラム

第188回(7月2日):照屋寛徳 議員

沖縄を蔑視、侮辱する作家百田氏と自民党国会議員たち

【写真】沖縄選出野党国会議員で百田氏発言に抗議声明発出・記者会見=6月27日、沖縄県議会内

沖縄選出野党国会議員で百田氏発言に抗議声明発出・記者会見

 去る6月25日、安倍総理の「別働隊」「親衛隊」の自民党若手国会議員らで組織する「文化芸術懇話会」の勉強会に講師として招かれた作家の百田尚樹氏が「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」と暴言・妄言を吐き、沖縄中で強い抗議と批判が沸騰している。

 かかる百田発言は、勉強会に出席した長尾敬衆議院議員が「(沖縄二紙は)左翼勢力に乗っ取られてしまっている。二つの新聞によって沖縄の世論がゆがんでいる」などと述べ、百田氏に沖縄の世論を正す方策のアドバイスを求めたことに答えたものだ。

 百田氏は、長尾議員の質問に次のようなことも語ったようだ。

 「もともと普天間基地は田んぼの中にあった。周りは何もなかった。基地の周りに行けば商売になると、みんな何十年もかかって基地の周りに住みだした」

 「基地の地主さんは年収何千万円なんですよ。みんな」「ですからその基地の地主さんが、六本木ヒルズとかに住んでいる。大金持ちだから、彼らは基地なんか出て行ってほしくない」―と。

 米軍普天間飛行場は、1945年の悲惨な沖縄戦終結、米軍占領開始と同時に強制接収された土地である。そのほとんどが私有地だ。

 戦前は10の集落が存在し、役場や郵便局、小学校(国民学校)などの公共施設や商店が立ち並ぶ地域の中心地であったことは、歴史的に公知の事実だ。

 百田氏の言説は、戦後沖縄の米軍基地形成過程に関する無知蒙昧、牽強付会で虚説以外の何ものでもない。調査不足、勉強不足を超えて、悪意に基づく意図的曲解による欺瞞である。断じて許せない。

 百田氏の軍用地主の地代収入に関する言説も事実誤認であり、不見識と指弾せざるを得ない。

 沖縄には、いわゆる軍用地主(地権者)が約4万3千人いるが、その半数以上(54.2%)の地代収入は年間100万円未満だ。500万円以上受け取っているのは約3,400人(7.9%)にすぎない。(平成23年度、沖縄防衛局調べ)

 宜野湾市軍用地等地主会によると、普天間飛行場の地主(3,354人)の48.5%(1,627人)が年間地料100万円未満で、1千万円以上は2.4%(81人)にすぎない、という。(6月27日付毎日新聞)

 地権者の逝去にともなう相続や生前贈与による細分が進み、一人当たりの受取額は年々減少しているのが実態だ。

 このような事実誤認も甚だしい一連の百田発言に、自民党出身の佐喜真淳宜野湾市長は、6月26日の記者会見で「普天間の歴史は戦争当時、米軍が接収したもので本来は地権者がいる。そこに帰りたい先祖代々の土地だ。その発言は極めて遺憾で残念だ」「市民をある意味、ばかにしている」と批判し、憤っている。

 宜野湾市議会は、6月29日の本会議で「(百田発言は)地主の尊厳を傷つけるもので容認できない。(「沖縄二紙はつぶさないといけない」との)発言は、表現の自由を封ずる言論だ」として、百田発言の撤回と謝罪を要求する抗議決議案を全会一致で採択した。

 百田発言に対しては、県議会はじめ那覇市議会など多くの市町村議会が抗議決議採択の動きを示している。

 ところで、自民党若手国会議員の安倍総理「別働隊」「親衛隊」の「文化芸術懇話会」勉強会では、大西英男衆議院議員が「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなることが一番だ」と述べ、百田氏ら文化人が経団連に働きかけて、政権批判をするマスコミ「懲らしめる」べき、だと発言している。まさに、安倍総理の威光を利用したマスコミ征伐、表現の自由・報道の自由封殺の勧めであり、断じて認められない。

 憲法第21条第1項は「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」と定めている。

 表現の自由は、個人の人格形成にとっても重要な権利であるが、とりわけ、国民が自ら政治に参加するために不可欠な権利である。民主主義の根幹をなす権利と理解すべきだ。

 報道の自由も表現の自由の保障に含まれている。テレビ、新聞などのマスコミ報道が国民の知る権利に奉仕するものとして重要な意義を持つことは、ほとんどの憲法学者が認め、判例上も確立されている。

 つい最近(今年2月末日)までNHK経営委員であった百田氏と政権党たる自民党若手議員らの「文化芸術懇話会」勉強会における一連の発言は、権力行使によって表現の自由・報道の自由を統制し、弾圧せんと目論むものだ。

 中でも、「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」「(沖縄二紙は)左翼勢力に乗っ取られてしまっている。二つの新聞によって沖縄の世論がゆがんでいる」との事実誤認に基づく不見識で不当な言論統制は許せない。

 百田氏や自民党若手国会議員らは、沖縄二紙が悲惨な沖縄戦の実相、「無憲法」の米軍支配下での不条理、「復帰」後今日までの「反憲法」下における国策の犠牲強要などを告発している事実を無視し、政権(権力)批判を展開する厄介者はつぶしてしまえ、と本気で思っているのだろう。露骨なまでの異論排除であり、権力による言論統制だ。

 私は、百田氏や自民党議員らの言論の自由を尊重する。だが、沖縄に対するいわれなき誹謗中傷、民主主義を破壊する言論統制には毅然として対決する。

 憲法第99条は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と定めている。

 憲法を尊重擁護する義務を負っている国会議員が公然と憲法第21条を破壊する言説をおこなう。安倍独裁政権の“壊憲”策動の下で、自民党国会議員はかくも劣化したのか。言語、論理破綻をきたしたのか。

 私は、「文化芸術懇話会」に講師として百田氏を招き、一連の暴言・妄言を引き出す共犯関係をつくった自民党若手議員らの国会議員としての資格、資質は「永遠の0(ゼロ)」だと批判する。

 同時に、百田氏も発言内容が報道された直後は「雑談の中での冗談だった」と苦しい弁解をしたが、6月28日の大阪・泉大津市での講演では「今はもう本気でつぶれたらいいと思う」と述べ、自らの不明を恥じ入り、反省する態度も皆無(ゼロ)だ。

 おそらく、沖縄タイムス、琉球新報が編集局長名で共同抗議声明を発出し、百田発言の誤りを大々的に論証報道したことに対する逆ギレだろう。

 私は言う。百田氏の沖縄戦後史や沖縄の基地形成過程に対する知識・理解も「永遠の0(ゼロ)」だ。

(2015年7月2日 社民党衆議院議員 照屋寛徳)

 

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