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憲法コラム

第184回(4月28日):照屋寛徳 議員

ズバリ「戦争法案」と言って何が悪いの!

【写真】4月23日、衆議院安全保障委員会

来県した土井さんと

 安倍内閣は2014年7月1日、閣議と国家安全保障会議で、新たな安全保障法制のための基本方針を示した文書「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」を決定した。与野党各党や官僚、マスコミの多くは、この基本方針に基づいて作成される関連法案(11本)をまとめて「安全保障法制」と呼称する。

 安倍内閣は2014年7月1日の閣議決定を受けて、内閣官房国家安全保障局の下に法案作成チームを立ち上げている。

 一方、自公の巨大与党は去る4月20日、政府の新たな安全保障法制の基本方針について事実上了承した。そのうえで4月27日、安保法制11法案について実質合意した。

 この安全保障法制の自公与党合意を受けて、安倍内閣は来る5月15日頃にもかかる安保法制11法案を@「国際平和支援法」(新法制定)とA自衛隊法改正案など10本の法改正を束ねた一括法案―の2本立てにして閣議決定し、国会提出する運びのようだ。早ければ5月21日衆議院本会議で審議入りし、6月24日までの通常国会を8月10日頃まで大幅延長のうえ、衆参それぞれで80数時間程度審議して成立を図るつもりらしい。

 アキサミヨー、イチデージナタン(すわ、一大事だ)

 2014年7月1日に閣議決定された「安全保障法制の整備」とは、我が国に対する直接的な武力攻撃が発生しなくとも、我が国と密接な関係にある他国への武力攻撃が発生した場合に〈我が国の存立を全うし〉〈国民の安全を守るために〉集団的自衛権の行使を認める、との大前提に基づく。

 要するに、閣議決定のみで憲法解釈を変更し、集団的自衛権行使容認(解釈改憲)へと舵を切ったのである。断じて認めない。許されない。

 そのうえに、自衛隊の任務を大幅に拡大し、自衛隊を米軍と一体化・融合化せしめる国内法整備を企図するのが、今回の安全保障法制整備の実態である。

 ところで、いわゆる「安全保障法制」については、与野党間や市民運動団体、法律家団体等の間で様々に呼称されている。

 いわく「戦争関連法案」「戦争準備法案」「戦争立法」「戦争法案」―などである。

 私は、「安保法制」は“法の下剋上”により憲法9条を実質無効化する「戦争法案」だ、と強く批判している。したがって、ズバリ「戦争法案」と呼ぶ。

 さてさて、その「戦争法案」をめぐって、とんでもない騒動が参議院で起こっている。

 去る4月1日の参議院予算委員会で、社民党・福島みずほ議員が「安倍内閣は5月15日、14本から18本以上の戦争法案を出すと言われています」と切り出し、宮尾節子さんの「明日戦争が始まる」と題する次の詩を読み上げた。

 「まいにち 満員電車に乗って 人を人とも 思わなくなった インターネットの 掲示板のカキコミで 心を心とも 思わなくなった 虐待死や 自殺のひんぱつに 命を命と 思わなくなった じゅんび は ばっちりだ 戦争を戦争と 思わなくなるために いよいよ 明日戦争がはじまる」

 そのうえで、福島議員は安倍総理に「若者の過酷な労働条件の延長線上に本物の戦場がある」「格差拡大、貧困と戦争はつながっていると思いますが、総理、いかがですか」と質した。

 対する安倍総理が答弁でブチ切れた。

 「今も我々が今進めている安保法制について、戦争法案というのは我々もこれは甘受できないですよ。そういう名前を付けて、レッテルを貼って、議論を矮小化していくということは断じて我々も甘受できないと、こんなように考えているわけでありまして、真面目に福島さんも議論をしていただきたいなと、これは本当にそう思うわけでございます」―と。

 福島議員も怯まない。

 「戦争法案、これは集団的自衛権の行使を認め、後方支援という名の下にまさに武器弾薬を提供するわけですから、戦争ができることになる、そういうふうに思います。これを戦争法案、戦争ができるようになる法案ですから、そのとおりです」ときっぱり。

 騒動の予兆はあった。岸宏一参議院予算委員長は「福島議員の発言中、不適切と認められる言辞があったように思うので、後刻理事会で速記録を精査の上、適当な処置をとることとする」旨言い渡していた。

 案の定、去る4月17日に自民党・堀井巌参議院予算委理事が福島議員に面会を求め、「戦争法案はやめていただきたい。『戦争関連法案』とか『戦争につながる法案』とかに修正できないか」と迫ったようだ。全く呆れたね。

 憲法第51条は「両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない」と定めている。

 憲法第51条の目的は、国会における言論の自由を最大限に保障し、国会議員がその職務を行うにあたって、その発言についていささかも制約されることがないようにしよう、との趣旨に出たものである。

 また、憲法第21条第1項は「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」と定めている。

 どうやら、自民党参議院予算委理事らは、憲法第51条や第21条第1項の規定を知らないらしい。

 自民党の福島議員に対する議事録修正要求は、多数与党の言論封殺であり、異論や少数意見を認めない反憲法的圧力行為である。民主主義の根本理念なる表現の自由と国会議員の質問権の侵害だ。

 去る4月23日、衆議院安保委員会において防衛装備庁の新設を含む防衛省設置法改正に関する参考人質疑があった。私は西川純子参考人(獨協大学名誉教授)に「『武器輸出三原則』が『防衛装備移転三原則』に変わったこと、防衛装備庁新設の問題点」などについて質問した。

 西川参考人は、私への答弁の中で「・・・今回のいろいろな施策、これを戦争立法と言った方が大変非難されておりますけれども、私も戦争立法という言葉をあえて使わせていただきますが・・・」と明快に述べた。そのとおり、「戦争法案」も「戦争立法」も「安保法制」の本質をえぐり出す言葉なのだ。

 福島議員の「戦争法案」発言に対する自民党の修正要求を社民党も福島議員本人も断固拒否している。

 私に言わせれば、「修正」すべきは福島議員の発言ではなく、自民党参議院予算委理事らの「おつむ」の方だ。ハイ、オツムテンテン。

 福島議員の「戦争法案」発言に対する自民党の修正要求に対し、民主党・細野豪志政調会長は「異なる意見をしっかり戦わせるのが国会の大きな仕事であり、民主主義の本質と言える部分。この部分を今の安倍政権、自民党は全く理解していないのではないか」。維新の党・松野頼久幹事長は「政府・与党が気にくわない発言だから削除だということが行われるようであれば、国会は成り立たない」―と述べるなど野党各党から批判が渦巻いている。

 共産党・志位和夫委員長も「横暴かつ傲慢かつ恥ずべき要求は取り下げるべきだ」と自民党に対し、修正要求の撤回を求めている。

 福島議員よ、1940年の帝国議会衆議院本会議で軍部の暴走を批判した立憲民政党・斎藤隆夫議員による「反軍演説」に学び、一切妥協せず、自民党参議院予算委理事らと闘うべし。

(2015年4月28日 社民党衆議院議員 照屋寛徳)

 

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