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憲法コラム

第154回(4月30日):照屋寛徳 議員

「立憲デモクラシーの会」設立とその理念

【画像】「立憲デモクラシーの会」ホームページより
http://constitutionaldemocracyjapan.tumblr.com/

立憲デモクラシーの会 照屋寛徳

 去る4月18日、「憲法に従った政治を回復するために、あらゆる行動をとる」と宣言して、「立憲デモクラシーの会」が設立された。

 会の設立を呼びかけたのは、憲法学(法学)関係、政治学関係、経済学関係、社会学関係、人文学関係、理系の学者ら約50人である。共同代表には、奥平康弘氏(東京大学名誉教授・憲法学)、山口二郎氏(法政大学教授・政治学)の二人が名を連ねている。

 同会には、4月25日現在で、約560人が賛同を表明したらしいので、大変に心強く感じる会の設立発起だ。

 「立憲デモクラシーの会」設立呼びかけ人はいわゆる護憲派の学者だけではない。先に結成された「96条の会」と同様に、改憲論者である小林節氏(慶応大学教授・憲法学)、「選憲論」を主張する上野千鶴子氏(立命館大学・社会学)、高橋哲哉氏(東京大学・哲学)らも加わっている。

 「立憲デモクラシーの会」の設立趣意書を入手して、読み込んだ。全文を紹介できないのは残念だが、その一部を設立趣旨を損ねないように注意して、抜粋のうえ記述する。

 「決められる政治を希求する世論の中で、安倍政権は国会の『ねじれ』状態を解消したのち、憲法と民主政治の基本原理を改変することに着手した」と設立趣意書は冒頭で指摘する。

 私などは、安倍政権は「決められない政治」から「決めてはいけない政治」へと暴走していると一貫して批判してきた。

 設立趣意書は、立憲デモクラシーについて、次のように論及する。

 「安倍政権は今までにない手法で政治の基本原理を覆そうとしている。確かに、代議制民主主義とは議会多数派が国民全体を拘束するルールを決める仕組みである。しかし、多数を全体の意思とみなすのはあくまで擬制である。一時の民意に支持された為政者が暴走し、個人の尊厳や自由をないがしろにすることのないよう、様々な歯止めを組み込んでいるのが立憲デモクラシーである。それは、民主主義の進展の中で、民衆の支持の名の下で独裁や圧政が行われたという失敗の経験を経て人間が獲得した政治の基本原理である」――と。

 その、独裁や圧政の失敗の経験を経て「人間が獲得した政治の基本原理」である立憲デモクラシーを無視し、閣議決定だけの憲法解釈の変更により集団的自衛権の行使容認に躍起になっているのが安倍政権である。

 安倍総理は、選挙で巨大与党を形成し、衆参ねじれを解消した勢いで、独裁政治へと突き進んでいるのである。本当に恐ろしい事態になってしまった。許せない。

 「万能の為政者を気取る安倍首相の最後の標的は、憲法の解体である。安倍首相は、96条の改正手続きの緩和については、国民の強い反対を受けていったん引っ込めたが、9条を実質的に無意味化する集団的自衛権の是認に向けて、内閣による憲法解釈を変更しようとしている。政権の好き勝手を許せば、96条改正が再び提起され、憲法は政治を縛る規範ではなくなることもあり得る。」

 私に言わすると、「憲法は政治を縛る規範ではなくなることもあり得る」どころか、安倍総理は、憲法は「国民を縛るものだ」と意図的な勘違いをして、憲法の立憲主義をあからさまに破壊せんとしているのだ。多くの国民は、アベノミクスに踊り踊らされるのでなく、安倍総理の隠れた魂胆を見抜くべきである。

 会の設立趣意書は、最後の部分で次のように述べ、会の設立目的、これからの行動目標を結んでいる。

 「今必要なことは、個別の政策に関する賛否以前に、憲法に基づく政治を取り戻すことである。たまさか国会で多数を占める勢力が、手を付けてはならないルール、侵入してはならない領域を明確にすること、その意味での立憲政治の回復である。」

 「安倍政権の招いた状況は危機的ではあるが、日本国民の平和と民主主義に対する愛着について決して悲観する必要はない。」

 今、一強多弱の国会の中で、憲法に反する政治が展開されている。憲法に従った政治の回復は、立憲デモクラシーに反する政治を許さない政治勢力の大きな課題であり、その為の「あらゆる行動をとる」と宣言する「立憲デモクラシーの会」に共感し、連帯し、同会に負けない運動・闘いを構築せねば、と私も決意を新たにするものである。そのことは、憲法の立憲主義を大事にし、立憲主義の憲法の下で「国民」(わが国に在住する全ての外国人を含む)の人権と尊厳を国家権力から守り、憲法を擁護、尊重する義務を負っている国会議員の使命である。私自身がその責務を痛感している。

 この原稿がアップされる頃は5月3日の「憲法記念日」が近いだろう。「憲法記念日」がいつの間にか「ナチスの手口」により、「改憲記念日」に変わらぬよう、立憲デモクラシーの実現の為にあらゆる努力を尽くす決意を固めた。

(2014年4月30日 社民党衆議院議員 照屋寛徳)

 

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