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憲法コラム

第149回(3月24日):照屋寛徳 議員

舛添東京都知事の憲法論の罠

舛添東京都知事の憲法論の罠

 去る2月20日第1刷発行の舛添要一東京都知事の著書『憲法改正のオモテとウラ』(講談社現代新書)が発売されている。

 前記著書は都知事選前に執筆を終えていたようだが、当選後に書き換えはしないまま出版・発売されている。舛添都知事の前記新刊書の表紙帯文には、「憲法改正とは政治そのものである」とか、「都知事が考える憲法論」などと刷り込まれているので、私のエッセー標題も、あえて「舛添東京都知事の憲法論の罠」とした次第である。

 さて、政治家としての舛添要一が「好きか」「嫌いか」と問われたならば、「大嫌いだ」と素直に答える。別に個人的な恨みがあるわけではない。また、去る東京都知事選挙で社民党は宇都宮健児候補を推薦したので、選挙に敗けた腹いせで言っているつもりもない。

 ただ、都知事選の渦中で週刊誌を賑わした舛添都知事の女性蔑視発言や過去の「政治とカネ」の問題については、真偽のほどは知らないが、報道が真実であれば唾棄すべき男だ、と批判せざるを得ない。

 私と舛添都知事とは、およそ属する(過去に属した)政党も政治信念も異なる。もちろん、私にも所属政党は違っても、親交がある尊敬に値する政治家は多くいる。

 舛添都知事の前記新刊書の出版を知り、早速購入して一読した。

 舛添都知事は著書の中で、「憲法とは、国家権力から個人の基本的人権を守るために、主権者である国民が制定するものである。近代立憲主義憲法は、個人の権利・自由を確保するために国家権力を制限することを目的とする」と述べている(おっおっおー。舛添都知事よ、立憲主義をよ〜くわかっていらっしゃるじゃないの…)。

 そのうえで、自民党「日本国憲法改正草案」について「憲法(立憲主義)というものについて基本的なことを理解していない人々が書いたとしか思えない」と批判している。

 舛添都知事の批判する通りなのだ。自民党「日本国憲法改正草案」は、立憲主義に反するばかりか、現行憲法の三大原理(国民主権、平和主義、基本的人権尊重主義)を破壊し、日本を再び「戦争国家」に転換せんとする意図の下に作成されたものである。憲法を「国民が国家を縛る鎖」から「国家が国民を縛る鎖」に変えようとしているのだ。

 舛添都知事は、自民党「日本国憲法改正草案」前文で「日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、ここに、この憲法を制定する」と結んでいることに対しても「『良き伝統』とは、どういう伝統なのか。どの伝統が良いか悪いか、好きか嫌いかは個人が判断することであり、価値判断を憲法に入れるべきではない」と手厳しく批判している。この二点に関する指摘において、舛添都知事の考えは正しい、全く同感だ。

 私は、舛添都知事の著書『憲法改正のオモテとウラ』の立憲主義に関する記述を読んで、保守派の護憲論者かな、と思った。自民党「日本国憲法改正草案」に反対する限りでは連帯すべき人なのかも知れない、とも一瞬考えた。

 現に2月14日の記者会見では「今のままの草案だったら、私は国民投票で反対する」と語っている(2月20日付朝日新聞)から、尚更に。

 だが、舛添都知事の憲法論の罠に引っかかってはいけない。舛添都知事は著書の中で「私は憲法改正の眼目は、9条2項だと思っている。たしかに、現行憲法は国民の権利・義務などをはじめ、完成度が高くよくできた内容だと思う。しかし、変化する国際情勢に対応して、日本の平和と独立、国民の安全を守るために軍隊を持つ(現実に自衛隊が存在している)ことを明記すべきである。その改正こそが急がれている」と書き記している。

 なーんだ、そうだったのか。舛添都知事は、9条2項を改正(悪)し、交戦権を有する軍隊「国防軍」を認める改憲論者なのだ。おそらく、舛添憲法論からして、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認(解釈改憲)と9条の実質的無効化には反対しえないだろう。

 著書の表紙帯文に「憲法改正とは政治そのものである」と刷り込む舛添都知事は、「政治は勢いである」と豪語し、集団的自衛権行使容認と武器輸出三原則の変更に暴走する安倍総理に反対することはできないと見る。もし、舛添都知事が立憲主義に反する憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認(解釈改憲)に反対の姿勢を明確にするならば、保守派の護憲論者として「好き」になるだろうよ。

 舛添都知事は、著書の中で石破自民党幹事長との憲法論争に触れ、「9条を一日でも早く改正することが大事だ」と反撃した、と勝ち誇っている。

 結局、舛添都知事は、その政治信条、政治的立ち居振舞いからして自民党「日本国憲法改正草案」には反対するが、憲法9条「壊憲」、「国防軍」創設(著書では公明党の賛成が得やすいように国防軍ではなく、自衛軍がいいと主張する)、集団的自衛権行使容認等には積極的に賛成するに違いない。

 舛添都知事の憲法論の罠(憲法改正のウラ)には要注意・要警戒である。

 私は、立憲主義と平和主義を破壊する9条改憲には断固として反対する。もちろん、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認(解釈改憲)によって「平和国家」から「戦争国家」へと転換することにも断固反対だ。

(2014年3月24日 社民党衆議院議員 照屋寛徳)

 

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