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憲法コラム

第136回(12月12日):照屋寛徳 議員

個人より国家優先、国民軽視と国家重視の国家観を斬る

【写真】今年の参院選に向けて自民党が作成・掲示した政治活動用ポスター(同党HPよりキャプチャー)と社民党の参院選選挙公約

個人より国家優先、国民軽視と国家重視の国家観を斬る

 特定秘密保護法の成立に至る国会審議の全過程を通して、安倍総理と政権の目指す国家観(国家像)がより鮮明になったもの、と考える。どうやら、安倍総理と政権は、個人より国家優先、国民軽視と国家重視の「強い国家」を作ろうと躍起になっているようだ。安倍総理や自民党が掲げる「日本を取り戻す」という場合、そのような国家観による国家像を描いている事は間違いない。

 従って、先に成立した悪法の最たる特定秘密保護法は、「国家秘密保護法」と呼ぶべきであり、真の立法目的は、憲法が定める「民主主義国家」から「秘密警察国家」への転換であり、最終的には、日本を「戦争をしない国」から「戦争ができる国」へ、と国のかたちを変えるものである。すなわち、日本国憲法の理念であり、原理である「平和国家」から「戦争国家」に作り変えることが、安倍総理と自民党が画策していることなのだ。

 私は、単なる言葉遊びや大袈裟に誇張して言っているのではない。そのような安倍総理と自民党の恐ろしい国づくりを許さない覚悟を持って、日々政権を監視をして行くのが野党国会議員と主権者たる国民の役目なのである。

 安倍総理に対する国民の反撃も既に始まっている。

 共同通信社が12月8、9日の両日に実施した全国緊急電話世論調査の結果によると、安倍内閣の支持率は47.6%と前回11月の調査から10.3ポイント急落している。ユーシッタイヤサ(ざまあみろ!)

 逆に、不支持率は38.4%で前回調査より12.2ポイント上昇している。内閣支持率が50%を割るのは、第2次安倍内閣発足後、初めてだ。共同通信社以外の他のマスコミ世論調査結果も同様の傾向を示している。

 民主主義を破壊し、憲法の三大原理(国民主権、平和主義、基本的人権尊重主義)を否定し、国民の「知る権利」と報道・取材の自由を著しく制限する特定秘密保護法の賛否については、「反対」が60.3%、「賛成」は24.9%に過ぎない。特定秘密保護法に「不安を感じる」との回答が70.8%を占めているのは、同法の内容が明らかになるに従って、反対や懸念を表明する国民運動が高まったことと一致する。

 政府・自民党は12月13日に同法を公布し、1年以内に施行することを決めた。だが、共同通信社の世論調査結果では、次期通常国会以降に「修正する」との回答が54.1%、「廃止する」28.2%、合わせて82.3%に上っている。同法の国会審議で森雅子担当大臣の答弁が二転三転し、審議中から成立後の改正に言及するなど、同法が「欠陥法」であることを多くの国民は見抜いているのである。成立した特定秘密保護法を「このまま施行する」はわずか9.4%にとどまっている。やっぱり特定秘密保護法は、「廃止」すべきだ。「廃止」を目指して、根気強く国会内外で闘いを継続して行くつもりである。

 大きく横道にそれてしまった。本題の安倍総理と自民党の国家観、目指している国家像に戻ることにしよう。

 自民党「日本国憲法改正草案」前文は「日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴く国家であって、国民主権の下、立法、行政、司法の三権分立に基づいて統治される。」と謳っている。天皇を「戴く」国家とは、国民の上に天皇がいて、天皇に国民が従属していることを意味する。大日本帝国憲法(明治憲法)の天皇と臣民の関係である。ここには、国の主人公は国民ではなく国家であるとの国家観に基づいた、国民主権ではなく天皇主権を表わしている、としか見えない。

 自民党「日本国憲法改正草案」第1条は「天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴であって、その地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。」と謳っている。

 自民党の「日本国憲法改正草案」Q&Aには、同条について次のように解説している。

 「我が国において、天皇が元首であることは紛れもない事実ですが、それをあえて規定するかどうかという点で、議論がありました。

 自民党内の議論では、元首として規定することの賛成論が大多数でした。反対論としては、世俗の地位である『元首』をあえて規定することにより、かえって天皇の地位を軽んずることになるといった意見がありました。反対論にも採るべきものがありましたが、多数の意見を採用して、天皇を元首と規定することとしました。」――と。

 ちょっと待てよ、と言いたい。「我が国において、天皇が元首であることは紛れもない事実です」と言い張るが、憲法学者の間では、伝統的な元首概念からすると、日本国の元首は内閣または内閣総理大臣である、との論が多数説である。要するに、安倍総理と自民党は、天皇を「元首」と位置づけ、天皇を「戴く」、天皇中心の日本の国づくりを目指しているのである。

 それだからこそ、自民党「日本国憲法改正草案」第3条で「国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする。」、同条2項で「日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない。」と、国旗国歌法(平成11年法律第127号)で決められていることを憲法に明記し、あえて国旗国歌尊重義務を新たに国民に課そうとしているのだ。

 そのうえで、現行憲法第99条は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」との憲法尊重擁護義務を定めているが、自民党「日本国憲法改正草案」では、天皇と摂政を除外しているのである。

 ウチナーとウチナーンチュは、明治の天皇制国家に「遅れてきた臣民」であるが故に、皇民化政策に急いで同化せんとして、悲惨な歴史を体験した。よって、個人より国家優先、天皇を中心とした国づくりには反対だ。

 

(2013年12月12日 社民党衆議院議員 照屋寛徳)


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