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憲法コラム

第107回(9月5日):照屋寛徳 議員

婚外子相続差別は憲法違反

婚外子相続差別は憲法違反

 2013年9月4日、最高裁判所大法廷は、結婚していない男女間の子(婚外子)の遺産相続分を、法律上の夫婦の子(嫡出子)の半分とする民法の規定をめぐる裁判の決定で、「家族観が変わり、相続分を差別する根拠は失われており、法の下の平等を定めた憲法に違反する」との裁判官全員一致の画期的な判断を示した。

 最高裁判所が法律の規定を違憲とする判断を示したのは、戦後9例目で、民法では初めてである。今回の最高裁判所大法廷決定は、遅きに失した感は否めないが、憲法と民主主義の基本理念である「個人の尊厳」を最優先で守る司法の本来的役割に忠実な判断として賛意を表し、大歓迎したい。

 ご承知のように、民法第900条4号ただし書きは「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。」と規定している。

 民法のこの規定は、1898年に旧民法(明治民法)で設けられ、敗戦後1947年の民法改正でも引き継がれた、古色蒼然たる家族観に基づくものである。

 民法第900条4号ただし書きの婚外子相続差別を巡っては、事実婚やシングルマザーなど家族の多様化が急速に進む中で、生まれてくる子どもに選択の余地がない理由での差別は許されない、との指摘があり、この間裁判で争われてきた。ところが、最高裁判所は平成7年(1995年)7月5日、「非嫡出子の法定相続分を嫡出子の2分の1としたことは、法律婚の尊重と非嫡出子の保護との調整を図ったものであり、合理的理由のない差別とはいえず、憲法14条1項に反するとはいえない。」とする、合憲決定を下していた。

 1995年7月5日の最高裁判所大法廷決定が出た18日後の同年7月23日、私は初めて参議院議員に当選した。いらい今日まで、婚外子相続差別撤廃や選択的夫婦別姓導入の市民運動に加わってきた。法律婚を選択しない場合の差別は、法定相続分だけではなく、他にも「寡婦控除」など税法上の不利益(差別)も現にある。私は国際人権規約が定める「出生による一切の差別禁止」の立場である。

 さて、日本の多くの国会議員は、民法第900条4号ただし書きの改正について、伝統的な古い家族感に固執し、婚外子と嫡出子の相続分を平等にすると、一夫一婦制や法律婚主義が危機に瀕する、「不倫を助長する」などの理由で反対したのである。

 米疾病対策センター(CDC)や欧州連合(EU)の統計によると、2011年の婚外子の出生割合は米国が41%、フランス56%、英国47%、ドイツ34%、イタリア23%、事実婚と法律婚がほぼ同等に扱われるスウェーデンでは54%となっている。

 人口減少社会に突入した日本でも、婚外子の出生数は増えている。2011年の人口動態調査では婚外子の全出生数に対する割合は2.2%、2万3354人が生まれている。

 2013年9月5日付沖縄タイムスによると、沖縄の婚外子出生数は2010年701人で全出生数に対する割合は4.1%で全国の2.2%の約2倍と高い。だが、婚外子の割合の伸び率は、沖縄より全国平均が上回っているのだ。

 今回、婚外子相続差別は憲法違反との判断を示した最高裁判所決定は、「諸外国では60年代後半以降、婚外子と嫡出子の差別が撤廃された。現在、日本以外で差別を設けている国は欧米諸国にはなく、世界でも限られた状況だ。国連も本件規定を問題にして、懸念の表明や法改正の勧告などを繰り返してきた。」

 「父母が婚姻関係になかったという、子自らが選択や修正する余地のない事柄を理由に不利益を及ぼすことは許されず、子を個人として尊重し、その権利を保障すべきである、という考えが確立されてきている。」などと判示している。

 さあー、最高裁判所の違憲決定を受けて、これ以上国会の怠慢は許されない。政府は、秋の臨時国会で民法の関連規定改正の動きに出てきた。大いに結構なことだ。この際、全ての国会議員が婚外子の尊厳、「出生による一切の差別禁止」の立場で、法定相続分以外の差別撤廃、多様な家族形態の選択可能性へ、と政治を進めなければなるまい。

 

(2013年9月5日 社民党衆議院議員 照屋寛徳)


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