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特集

雨宮処凛の“かりん”と直言

洞爺湖サミットへ行こう!

 7月7日から9日まで開催されるG8洞爺湖サミットに行くつもりだ。

 G8。世界の「先進国」首脳が集まって何やら「共謀」する日。しかも莫大(ばくだい)な税金を使って。その上、国連や何らの国際法にも基づかず。

 そんなG8のできるだけ近くに行って、世界のことについて考えてみたい。そう思って、行くことにした。G8開催中、北海道には新しい空間「オルタナティブ・ヴィレッジ」が出現するという。世界各国から集うNGOなどの人々と交流する場として、キャンプ地が造られるのだ。

 今からこれが楽しみで仕方ない。いろいろな国の料理やサッカー大会、コンサート、ワークショップなどが企画されているという。G8と言えばキャンプ、というのは「世界基準」らしく、これまでさまざまな国のサミットでキャンプが行なわれてきたという。去年のドイツ・ハイリゲンダムサミットでは10万人規模のキャンプが開催されたというからすごい。テント持参で北海道に駆けつけるつもりだ。

 G8というのは多くの人にとっては「遠い」ものかもしれない。私自身も、自分の身近な問題としてどう考えればいいのか、分からなかった。だけど最近、「G8 サミット体制とはなにか」を出版予定の栗原康さんの話を聞いて、すごくよく理解できた。70年代から始まったサミット体制の下で、先進国に都合のいいようにルール作りが行なわれ、そうして多くの人々の生活そのものが破壊されてきた。自由貿易、自由競争が推し進められる中、世界レベルの弱肉強食が地球全体を覆い、サミットを頂点として、新自由主義政策がまん延する。

 サブプライムローンの「責任を取って」辞職したメリルリンチ証券会長の退職金は177億円だったという。片や、原油価格の高騰でガソリンスタンドをクビになった私の知人は1円の補償も受けてはいない。解雇通知には、「サブプライムローンにより」という言葉があった。なぜ、時給制のアルバイトがサブプライムローンの責任を取らなければならないのか? たぶん、こういったことも「サミット体制」と決して無関係ではないと思うのだ。177億をもらって「責任を取った」と言い張る金持ちと、職を失って放り出される若者。どっちがおかしいかは言わなくても明らかだろう。

 世界には矛盾が満ちている。その矛盾がつくられる現場の1つを見るために、私は洞爺湖に行く。

(関連リンク)別ウィンドウが開きます
『G8サミット体制とはなにか』(栗原康、以文社)
『G8サミット体制とはなにか』(栗原康、以文社) 世界中を貧困状況に陥れ、われわれの生を切り縮める
“サミット体制とは”?

金融危機、食糧危機、環境危機・・・。さまざまな「危機」が叫ばれる現在、“世界を代表する”G8サミットの役割はますます重要度を増しているかにみえる。しかし、こうした「危機」自体が―自然に起こったというよりは―G8(主要国)によって作られ、G8によって煽動されてきた側面が強いことが話を複雑化する。本書では“サミット体制”という概念を用い、「危機」言説のもとで進行する“支配”の実体を、分かりやすく解説する。4本のコラムや文献案内も入った充実の内容!

 

プロフィール

雨宮処凛(あまみや・かりん)

雨宮処凛1975年、北海道生まれ。ゴスロリ作家。元パンク歌手&元政治活動家。アトピーが原因で受けたイジメを発端に、不登校、家出、リストカット、自殺未遂などを繰り返す。その壮絶な半生を描いた『生き地獄天国(太田出版)は大きな反響を呼ぶ。最近は、若者の雇用問題などにも積極的に取り組んでいる。
【雨宮処凛公式ホームページ】http://www3.tokai.or.jp/amamiya/


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