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特集

雨宮処凛の“かりん”と直言

うらしい判決

 5月2日、『雨宮処凛の闘争ダイアリー』という本が集英社から発売された。私のこの1年間の「闘い」(?)の日々をつづったものだ。いわば「金持ち」や「偉い人」にけんかを売りまくってきた1年間の活動記録だ。

 それにしてもこの1年、本当にさまざまな人にけんかを売りまくってきた。グッドウィルやさまざまな派遣会社、そうして違法行為を繰り返し、若者を使い捨てにする企業、はたまたそれを放置する厚生労働省、そして国などなど。

 そんなことを繰り返して、何度も事態が「動く」楽しさを経験した。グッドウィルやフルキャストが、賃金からの不等な天引き「データ装備費」「業務管理費」を廃止させたり、返還を発表したり、偽装請負や違法派遣が社会的なバッシングを受けたり。製造業の派遣・請負などの人々で結成されたガテン系連帯では、実際に時給を100円アップさせたり、寮費を最大で1万円下げさせたりと、具体的な結果も勝ち取った。また、フリーター労組などは次々と団体交渉を繰り返し、現在のところ連戦連勝、最近ではガソリンスタンドのバイトで結成されたガソリンスタンドユニオンがストライキを敢行、みんなで職場を占拠した。

 そうして4月25日、あまりにもうれしい出来事があった。松下プラズマディスプレイで働き、偽装請負を告発していた吉岡力さんの裁判が全面勝訴したのだ。雇用の確認などを求めて起こした裁判で、彼と松下プラズマの雇用契約が成立していることが認められたのだ。裁判当日、吉岡さんから「全面勝訴です」と興奮した声で電話がかかってきた。

 彼と私は同じ年。就職氷河期に社会に出ることになり、仕方なく派遣や請負で働き、10年以上も不安定な生活に耐えている同世代が私の周りにはたくさんいる。キツい肉体労働の生活を続ける中で、体を壊して働けなくなり、収入が絶たれてアパートを追い出され、ネットカフェ生活になってしまう人々も多くいる。正社員と違って、非正規は体を壊したり病気になったら何の補償もない。アルバイト経験しかない30代を正社員として雇ってくれる会社はあまりにも少ない。彼が勇気をもって告発し、声を上げてくれたことによって、これから多くの人たちが救われるはずだ。

 こんなふうに、事態は日々、動いている。まだまだフリーター問題などはバッシングにさらされることも多いが、こっちが求めているものはただ単に当たり前の生存で、合法的にやっている。間違っているのは、おかしいのは、市場原理に覆い尽くされた世の中の方なのだ。

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『雨宮処凛の闘争ダイアリー』(雨宮処凛、集英社)
フリーター全般労組
ガソリンスタンドユニオン
派遣ユニオン
社民党・労働者派遣法改正案骨子
社民党の労働政策:人間らしい労働

プロフィール

雨宮処凛(あまみや・かりん)

雨宮処凛1975年、北海道生まれ。ゴスロリ作家。元パンク歌手&元政治活動家。アトピーが原因で受けたイジメを発端に、不登校、家出、リストカット、自殺未遂などを繰り返す。その壮絶な半生を描いた『生き地獄天国(太田出版)は大きな反響を呼ぶ。最近は、若者の雇用問題などにも積極的に取り組んでいる。
【雨宮処凛公式ホームページ】http://www3.tokai.or.jp/amamiya/


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