HOME特集>雨宮処凛のかりんと直言

特集

雨宮処凛の“かりん”と直言

プチホームレス

 数年前、「プチ家出」という言葉がはやった。本格的な家出とは違い、数日間家を空けてまた帰ってくる。家出中も携帯で連絡は取れるので、親もそんなに心配しない。そういった家出を繰り返す少年少女たちが問題とされたときに出てきた言葉だ。

 そうして現在、「プチホームレス」と呼びたくなるような現象が起きている。それは派遣で働く若者たちが、短期間のホームレス生活を繰り返している、という現象だ。

 どういうことかというと、例えば製造業で派遣で働くと、見知らぬ土地で寮生活をすることになる。契約が更新されなければ、仕事と住む場所を同時に失う。知らない土地でわずかな所持金だけを持って放り出される若者たち。そんな若者の中には、次の派遣の仕事が始まるまでの数日間、路上で生活する者が少なくない数、存在するのだ。

 最近もそんな若者に会った。お金があるときはネットカフェに泊まったものの、ないときは駅前などで眠ったという。彼は短期間の路上生活で次の派遣の仕事が決まったからいいが、決まらなければそのままホームレス、なんてことになってしまう。

 「だから、ネットカフェ難民とか、全然他人事じゃないですよ」

 もう1人、製造派遣で働いてきた若者も言った。その彼の場合は路上生活ではなく、「ヒモのようなこと」をして派遣と派遣の間の期間を何とかつないだという。最近、ネットカフェ生活者へのアンケート結果を見る機会があった。ネットカフェに泊まらないときの彼らの過ごし方を知り、胸が痛くなった。夜中(じゅう)「コンビニで立ち読み」したり、「サラ金の無人ATMコーナー」で夜を明かしたり、ファミレスで時間をつぶしたり。その中には、「日中、パチンコ屋のトイレで寝る」という回答もあった。夜に眠くなってしまうと困るのであえて生活を昼夜逆転させ、昼間にパチンコ店のトイレで寝るのだ。

 最近、大型書店などのトイレの個室でもそういう人と出くわす。トイレの壁には「最近、個室を長時間利用するお客さまがいて大変困惑しています」という張り紙。決して広くはないトイレの個室で、体を縮こませて眠る人々は、ブルーシートで家を作ったりする人たちとは違う「新しいホームレス」なのだろう。

 若いころから、日常の中にホームレス状態が当たり前に組み込まれているということは由々しき事態である。そうして思うのは、今、「製造派遣」と「飯場」の区別がつかなくなっているのではないか、ということだ。

 また、こんな例もあった。三菱東京UFJ銀行の赤坂プリンスホテル(現在・グランドプリンス赤坂)への58万4487円の振込受付書(06年6月21日付)。振り込みの依頼人欄には「福田康夫事務所」と判が押され、その上に手書きで自由民主党群馬県第四選挙区支部と手書きされている。同書の連絡先には都内の電話番号が記されていた。この番号は総務省に届け出ている資金管理団体「千代田経済懇話会」や「福田経済研究会」とは違う番号。電話してみると、「虎ノ門にある福田事務所ですが政治団体ではありません」との答え、総務省に届け出ていない任意団体の可能性がある。

 04、05、06の3年分の政治資金収支報告として群馬県選管に届けられた2つの政治団体の領収書の改ざん個所は実に22ヵ所、金額にして600万1008円に達した。

 このような改ざんされた領収書は、民間企業ではもちろん論外だ。税務署の調査では門前払いの代物。それが県選管にこれまで大手を振ってまかり通っていたのだから驚きだ。

プロフィール

雨宮処凛(あまみや・かりん)

雨宮処凛1975年、北海道生まれ。ゴスロリ作家。元パンク歌手&元政治活動家。アトピーが原因で受けたイジメを発端に、不登校、家出、リストカット、自殺未遂などを繰り返す。その壮絶な半生を描いた『生き地獄天国(太田出版)は大きな反響を呼ぶ。最近は、若者の雇用問題などにも積極的に取り組んでいる。
【雨宮処凛公式ホームページ】http://www3.tokai.or.jp/amamiya/


HOME特集>雨宮処凛のかりんと直言