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特集

雨宮処凛の“かりん”と直言

京都で反戦デモ

 10月21日、京都の円山公園で行なわれた「このままでええの!!日本と世界 10・21反戦共同行動in京都」に参加してきた。今年の6月15日にも東京・日比谷野音で「9条改憲阻止集会」というのがあり、主催は60年、70年安保を闘った「爺(じい)さん」世代だったのだか、同じような人たちが主催をしているっぽい(よく分からない)。

 今年の6月、その集会に参加し、「爺さん」たちのパワーにいたく驚かされた。老い先短い爺さんたちが「失うものなど何もない」とばかりに9条改憲阻止のためハンストをやったりデモをしたりという姿に心打たれたのだ。人間、先が短いと思うと自分の本当にすべきことを考える。そこで彼らに残されたテーマが「反戦」だったのだ。爺さんになるとやたらと強欲になったりする人もいるが、こういう人たちは信じられる気がする。残り少ない人生は、当たり前だが有効に使った方がいい。個人の最大幸福を追求する権利もあるが、何だかそういうのって死ぬ瞬間とかに「おれの人生何だったんだ?」とか思いそうだ。

 そして今回。集会の前半にPANTAさんがライブをした。イラク戦争の際、米軍と1時間にわたって銃撃戦を繰り広げたサダム・フセインの孫の14歳の少年を歌った「7月のムスタファ」、そしてハイジャックの女王を歌った「ライラのバラード」。どちらも初めて聴いたのだが、イラクの光景がまざまざとよみがえり、泣きそうになった。PANTAさんとは、開戦直前、一緒にイラクに行っている。そこで私たちはさまざまなイラク人と出会った。メールアドレスを交換した大学生もいる。イラク戦争が始まると知り、慌ててその大学生に送ったメールの返事はいまだに返ってきていない。あの時、戦争の映像をテレビで見ながら、返ってこないメールを待つパソコンの前で、私は初めて「戦争」の理不尽さを身をもって知った。

 さて、PANTAさんのライブの後には私も話させてもらい、さまざまな立場の人たちからのアピールの後はデモに出発! なぜか先頭で横断幕を持ち、みんなでシュプレヒコールを上げる。「反戦老人」と書かれた横断幕を持つ爺さんたち。その後ろでガンガン音楽を鳴らす若者たちのサウンドカー。あらゆる世代が入り乱れて京都の街の日常の風景を切り裂いていく。円山公園から市役所まで歩いて、デモは終わった。

 終わった後、「爺さん世代」の運動のDVDができたということで、それを頂いた。タイトルはズバリ「We 命尽きるまで」。命尽きるまで、頑張れ、反戦爺さん。

(2007年10月31日 社会新報 「文化人コラム」より)

プロフィール

雨宮処凛(あまみや・かりん)

雨宮処凛1975年、北海道生まれ。ゴスロリ作家。元パンク歌手&元政治活動家。アトピーが原因で受けたイジメを発端に、不登校、家出、リストカット、自殺未遂などを繰り返す。その壮絶な半生を描いた『生き地獄天国(太田出版)は大きな反響を呼ぶ。最近は、若者の雇用問題などにも積極的に取り組んでいる。
【雨宮処凛公式ホームページ】http://www3.tokai.or.jp/amamiya/


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