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特集

雨宮処凛の“かりん”と直言

ホッピー系労組

 「ユニオンYes! キャンペーン」をご存じだろうか。

 労働組合の「華麗なるイメージアップ」を図るために繰り広げられているキャンペーンだ。動画配信サイト「ユニオンチューブ」を立ち上げたり、労働問題を扱う映画ばかりを集めた「レイバー映画祭」を開催したりと、さまざまな企画をしている。

 その背景には、若者による新しい労働組合が06年以降続々と結成され、盛り上がっている状況があるだろう。今までの労働組合といえば、正社員のみを守り、フリーターなどは放置、自分たちさえよければそれでいい、というイメージがあった。しかし、最も低賃金で不安定で何の保証もないフリーターをはじめとする非正規の人々にこそ労働組合は必要なのだ。そんなことに気づいた若者たちが、「労働組合」という使えるツールを発見した。このことの意味はあまりにも大きい。

 そうして立ち上がった「誰でも1人でもフリーターでも入れる労働組合」は、「コミュニティユニオン」と呼ぶらしい。が、一般用語ではない上に分かりづらいので、私は勝手に「インディーズ系労組」と呼んでいる。それに対して従来の労働組合を何と呼ぶべきか、しばし考えた。

 今まで、労働組合のイメージといえば、地味、怖い、暗い、オジサン、説教くさい、というロクでもないものが多かった。そんなキーワードから浮かんできたのは「ホッピー」(お酒の)だ。オヤジの心の友・ホッピー。

 そこで、勝手に決めた。闘わない労働組合や自分たちの権利しか守らない労働組合、正社員ばかりに目が向いていて非正規との連帯などハナから考えていないような労組は、これから「ホッピー系労組」と呼ぼうと。

 そんな話を「ユニオンYes! キャンペーン」のキックオフ集会でしたら妙にウケてしまい、その上その界隈(かいわい)で流行(はや)ってしまった。使い方はこんな感じだ。「ウチの会社の組合って正社員のことしか考えてなくて…」「それってホッピー系じゃん?」などなど。

 ホッピー系労組の定義には、古い/新しいは関係ない。古い組合でもがっつり闘ってる人たちがいることは知っている。だから新しいから無条件に「ホッピー系」じゃないということもないし、古くても非正規とともに闘う意志がある組合は「ホッピー系」じゃない。

 「ホッピー系労組」と呼ばれたくない、その一心から張り切っちゃう組合とかあったら面白い。言葉の持つ力って、意外と大きいのだ。

(2007年10月10日 社会新報 「文化人コラム」より)

プロフィール

雨宮処凛(あまみや・かりん)

雨宮処凛1975年、北海道生まれ。ゴスロリ作家。元パンク歌手&元政治活動家。アトピーが原因で受けたイジメを発端に、不登校、家出、リストカット、自殺未遂などを繰り返す。その壮絶な半生を描いた『生き地獄天国(太田出版)は大きな反響を呼ぶ。最近は、若者の雇用問題などにも積極的に取り組んでいる。
【雨宮処凛公式ホームページ】http://www3.tokai.or.jp/amamiya/


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