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特集

雨宮処凛の“かりん”と直言

生きさせろ!集会

 9月21日、新宿・紀伊国屋ホールで「生きさせろ!集会」と題するイベントが開かれた。何を隠そう、この集会は今年3月に出版された私の本「生きさせろ!難民化する若者たち」の発売を記念して行なわれたものだ。

 この本の書き出しは「我々は反撃を開始する」という一文で始まっている。

 何に反撃するのかって?

 それは若者を低賃金で使い捨てた上に「自己責任」と追い詰め、経済至上主義のもと、平気で人をモノ扱いする企業、社会、そして政治に対する反撃だ。

 実はこの本を出したときはヒヤヒヤだった。「反撃を開始する」なんて宣言したものの、誰にも相手にされなかったらどうしよう…と。しかし、それはまったくの杞憂(きゆう)だった。取材中から反撃を始めている人たちとの連帯は深まっていたのだが、本を出してからはさらにその輪が広がり、そうして発売から半年もたつころには、「新しい労働/生存運動」の若きリーダーたちが紀伊国屋ホールに勢ぞろいしていたのだ。

 この日出演してくれたのは、

フリーター全般労働組合の執行委員長、
首都圏青年ユニオンの書記長、
派遣ユニオンの書記長、
ガテン系連帯の共同代表、
NPO法人POSSEの代表、
自立生活サポートセンター・もやいの生活相談スタッフ、
「貧乏人大反乱集団」「高円寺ニート組合」「素人の乱」の代表、
そして社会学者の小熊英二さん。

これだけのメンツが勢ぞろいした上でさらにうれしかったのは、400人入る紀伊国屋ホールが満員になったこと。

 自分で言うのも何だが、「労働問題」をテーマとした集会に若者が押し寄せるなど、少し前までは考えられなかったのではないだろうか。それが紀伊国屋ホールを満員にし、全員が異様な熱気の中、ギラギラした目で出演者たちの言葉を一言も聞き漏らさないようにして聞き入る。

 「再チャレンジ拒否宣言」をする素人の乱、「派遣法を変える!」と断言したガテン系連帯、「ワーキングプアの逆襲が始まった」と反撃ののろしを上げる派遣ユニオン、所持金ゼロ円で茨城から飯田橋まで10日かけて歩いて「もやい」に救われたというもやいの生活相談スタッフ、そして小熊英二さんが、今起こっている若者たちの反撃について、戦後日本の歴史を振り返りながらその社会的意義を指摘する。

 参加者からは、「歴史的瞬間に立ち会った」という感想が多く寄せられた。もう生きていけない、というところから始まった若者の生存運動。多くの若者は不安定な生活を強いられ、ずっと苦しんできた。が、もう大丈夫だ。だって、これだけの活動家たちが「連帯」したのだから。

(2007年10月3日 社会新報 「文化人コラム」より)
プロフィール

雨宮処凛(あまみや・かりん)

雨宮処凛1975年、北海道生まれ。ゴスロリ作家。元パンク歌手&元政治活動家。アトピーが原因で受けたイジメを発端に、不登校、家出、リストカット、自殺未遂などを繰り返す。その壮絶な半生を描いた『生き地獄天国(太田出版)は大きな反響を呼ぶ。最近は、若者の雇用問題などにも積極的に取り組んでいる。
【雨宮処凛公式ホームページ】http://www3.tokai.or.jp/amamiya/


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