HOME特集>経済コラム

特集

経済コラム

世界的なスタグフレーション -石油ショック以来のインフレと景気後退-

 北京オリンピック開催の中で猛烈なインフレと不況が広がっていた。さしもの原油高騰、穀物高騰も峠を越え、世間の関心は景気後退に移ってきた。

 日本産業の代表であるトヨタ自動車も深刻な販売不振に直面。「勝ち組」も青ざめる状況となった。サブプライム問題に端を発した消費者心理の冷え込みとガソリン高騰が重なり、世界的な自動車離れが進行している。世界最大の企業であるGMは4半期で1兆6000億円もの赤字となり、この調子では、倒産もあり得ると心配されだした。

 米国の住宅不況は記録的な落ち込みで、住宅ローンの返済不能者が家を追われ、ローンの焦げ付きで大きく傷ついた金融機関も倒産に直面している。米国の2つの住宅金融公社は合計で500兆円を超すローン債権を抱え、政府の公的資金投入が不可避な雲行きだ。世界的な金融恐慌が専門家の間で議論されている。日本でも不動産会社や建設会社の大型倒産が始まった。

 先進国の不況とは関係なく、新興国の高度成長は続くとの楽観論は影を潜め、インド、中国、東南アジアなどの株価も急落している。オリンピック開催国である中国の株価下落が特に大きく、重苦しい雰囲気だ。

 日本でも、お盆休みに帰省した人達は地方経済の疲弊と衰退を目の当たりにした。帰省手段もマイカーから長距離バス利用へと節約型が増え、消費者心理の冷え込みを反映していた。

 日銀の景気判断も2ヵ月連続で下方修正し、景気後退をはっきりと認めた。物価は第2次石油ショック以来、27年6ヵ月ぶりという記録的な上昇で、庶民の暮らしを苦しめている。

 石油ショック時の狂乱物価は、まだ日本経済も成長期にあった。今回は低成長、少子高齢化、地方経済の衰退の中での体験となる。

 政府与党もようやく景気対策を準備し始めたが、小泉政権以来、自民党が何を行なってきたのか、厳しく問いたださなければならない。地方経済の切り捨てと、産業界でのコスト削減奨励ではなかったか。

 残されたのは東京一極集中と格差拡大の社会であり、正規社員は削減され、パート雇用や、下請け企業へのコスト負担転嫁が繰り返された。この国のありようを根本的に改める時が到来しているようだ。

(社会新報掲載記事:08年8月27日)

(関連リンク)
政策総合的な経済対策について(コラム)
政策生活・地域の底上げ宣言 9兆規模の緊急対策
政策インフレ不況 バブル期待清算し個人消費に力を
神野直彦東大教授講演「日本の社民主義の未来」;原材料費高騰の背景
政策森永卓郎さん(経済アナリスト)に聞く 消費税大増税は本当に必要か
政策「安心の財政再建プラン」の実現 (コラム)
特集浜矩子(エコノミスト)の世の中に“喝”


HOME特集>経済コラム