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始まった世界経済危機 -景気失速とインフレ-

 懸念していたことが、ついに現実の姿となってきた。サブプライム問題に端を発した米国の金融危機は、米住宅公社2社の経営危機に拡大、米政府は公的資金の投入も検討し始めた。住宅公社の発行する金融債は事実上、政府保証債であり、この信用不安はドルの信用崩壊に直結する。公的資金の投入も当然の事態だ。

 日本人にとって公的資金の投入は記憶に新しい。バブルの崩壊後、巨額の不良債権を抱えてしまった邦銀に対して政府が公的資金の投入に踏み切ったからである。つまり、米国の金融市場は、あの時の日本の信用危機と同じ状況に追い込まれつつあるのだ。

 米住宅公社2社が保証・保有する住宅ローン担保証券は約5兆j。円換算で500兆円という金額で、サブプライムローンの1兆j規模とは比較にならない。そして住宅公社の信用補強のため公的資金の投入となると、このための金融緩和を見越して、投機資金の原油、穀物へのさらなる投機が懸念される。

 日本の金融機関も「対岸の火事」では済まされなくなってきた。日本の銀行も保有資金を大量に米政府保証債で運用しており、その保有額は合計24兆円というマスコミ報道もある。これが信用不安にさらされようとしているのだ。

 すでに米国では自動車など個人消費は冷え込み、最大の自動車会社GMは無配と資産売却、さらに追加リストラを発表した。好調だった日本の自動車販売も急ブレーキがかかっており、トヨタ自動車も減産に踏み切っている。

 日本でも低迷する個人消費の中で燃料の高騰から漁業者が悲鳴を上げ、一斉休漁に追い込まれた。飼料の高騰から酪農・畜産農家の倒産も増大している。

 そこに米国発の金融危機がいよいよ日本にも襲来してきたわけで、日銀、金融庁も邦銀の経営不振が今後顕在化するのではと警戒を強めている。

 問題は米政府が公的資金の投入に踏み切っても、危機が回避されるとは限らないということだ。ドルは円と異なり、世界の基軸通貨である。公的資金の投入がさらなる投機資金の暴走を助長し、物価高騰がさらに加速しかねない。

 となると最後には、大不況覚悟の金融引き締めに追い込まれる可能性すら生じてきた。政治・経済ともに米国依存の日本はなすすべなく途方に暮れているのが実情だ。

(社会新報掲載記事:08年7月23日)

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