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鉄鉱石高騰とサブプライム-米金融帝国の危機-

 サブプライム問題に端を発した金融市場の危機が一向に収まらない。それどころか、米国は景気失速の気配を強めている。そして今度は、日本向けの鉄鉱石が65%も値上げとなった。原油、穀物に次ぐ日本経済への衝撃である。

 鉄鉱石の値上げは新日鉄など日本の鉄鋼会社を直撃している。大幅値上げだから、鋼材の値上げに転嫁するほかない。これで自動車、建設、家電製品など多くの産業が資材コストの上昇に見舞われる。

 この値上がりコストの負担増に産業界も消費者も耐えかねて需要を抑制するだろう。日本の景気は失速する懸念も強まってきた。

 しかし、今回の原油、穀物、鉄鉱石などの大幅値上げは、米国を代表とする世界的な金融緩和が背景にある。そして、この金融緩和がサブプライムローンを暴走させ、その揚げ句サブプライム問題を顕在化させ、世界的な金融危機を招いてしまった。

 この危機は、本来、経営危機の金融機関を倒産させたり、不良債権を処理させたり外科手術を必要とするが、欧米の中央銀行は金融恐慌を恐れて、緊急資金供与と金利の引き下げで、対処しようとしている。例えは極端だが、麻薬患者の禁断症状を回避する麻薬投与治療を試みているようなものだ。

 当然、大量の緊急資金供与と金利の引き下げは、金融市場に副作用を生み、投機資金の増殖につながっている。これが穀物や原油への投資に加え、今回、鉄鉱石の大幅値上げにおよんだ。

 繰り返すが、物価の高騰は需要減退に働き、市況は頭打ちから値下げに動くはずだが、今回はサブプライム対策を優先するあまり、世界的な基礎原料への投機を増幅させている。

 こと、ここに至っては、根本的な疑問が生じるはずだ。なぜ、こうなったの?

 その答えは、ブッシュ政権の対テロ戦争だ。米国は対テロ戦争の資金を世界中からかき集めるため、世界の金融市場をグローバル化させ、金融緩和政策を続け、巨額の財政赤字と貿易赤字でもイラク戦争などを継続できるようにした。その揚げ句がサブプライム問題である。

 米国の金融帝国戦略が破たんしたのである。だから世界の資金がドル離れを起こしているのだ。事態はまさに深刻である。

(社会新報2008年2月27日号より)


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