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波紋広がるサブプライム-日本の金融界も不祥事-

 米国発のサブプライム問題は今や世界的な株式暴落となってきた。あわてて米FRB(連邦準備制度理事会)は緊急な大幅金利引き下げに踏み切ったが、日本でも信用不安は広がってきた。大手邦銀ばかりか、地方銀行、さらに農協などにも多額の損失が発生しており、そこには本業逸脱の問題点も浮上してきた。

 ニューヨーク市場も東証もパニック売りの様相だ。この暴落に一般投資家の中には「もう株式投資はコリゴリだ」と投資から撤退する動きも広がっている。

 しかし、これらは個人の問題。それに比べてバブル崩壊時に手痛い損失を受け、経営危機に直面した経済界が再び巨額損失を抱え込んでしまったのは問題である。

 バブル崩壊時には、信用不安と雇用不安を回避するためと称して債権放棄や公的資金の投入などの救済策を受けたが、今回のサブプライム問題でも再び過大投資による失敗を繰り返したようで、これは糾弾の対象とすべきことだ。

 まず問題なのは過大なマンション用地、都市再開発用地に対する投資である。バブル崩壊時にも多くの不動産会社やゼネコン(総合建設会社)が過大投資に奔走したが、今回も東京を中心とした首都圏の再開発で、再び過大投資を行なってしまったようだ。債権放棄などを受けた時の反省はどこへやらである。

 かつて住専(住宅金融専門会社)問題で6850億円もの公的資金の救済を受けた農林中金などの農協は、どうやら5000億円以上ものサブプライムローンを抱えてしまったようだ。当然、多額の損失を計上する運命にあるが、中間決算で計上した金額は氷山の一角にすぎず、今後、巨額損失の表面化で、一大不祥事に発展する雲行きだ。

 これに加えて今回は地方銀行の損失計上も懸念されている。REIT(不動産投資信託)への多額投資で失敗し、多くの地銀が多額の含み損失を抱え、3月決算を前に苦悩の色を深めている。地銀は地方経済の振興に貢献すべき金融機関。農協は農業振興の金融機関だが、本業を忘れ、ばくち投資で多額の損失を被ったとなれば、それはスキャンダル、経営責任問題である。

 小泉政権が強めた規制緩和、市場原理主義の政策は日本経済を活性化させるのだと強弁していた。それが、この結果である。とんだ副産物とモラルの崩壊である。

(社会新報2008年1月30日号より)


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