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板ばさみの金融政策 -サブプライムでインフレ懸念-

 米国がサブプライム問題の表面化を機に苦難の壁にぶち当たった。信用恐慌の不安と原油高騰などによる世界的なインフレ懸念が強まり、金融政策は板ばさみの状況に陥ってきた。

 米国経済は依然、サブプライム問題に揺れている。大手金融機関の巨額損失を前にして連邦準備制度理事会(FRB)は金融緩和に転じたが、金融市場の動揺は一時的な沈静化と、波乱の急落を繰り返している。市場は今後も金融機関の追加的損失が発表されるのではとのウワサに動揺し、サブプライム問題の根の深さにおびえている。

 この信用不安で米国経済は失速するのでは、米国経済の活力がそがれてドル不安に陥るのではないか、さらに、そのドル不安から世界経済の不況へと深刻さが拡大するのではないか。そんな憶測も広がっている。事実、米国の主要企業の業績が5年半ぶりに悪化するとの予測も出始めた。

 世界経済は米国をけん引力としている。中国、インドの台頭も著しいが、両国とも米国への依存度が高く、米国経済の失速が現実となれば、現在の高度成長を続ける状況ではなくなる。

 このためFRBは金融緩和に転じて金融不安の沈静化に努めている。そのおかげで、信用不安は回避され、米国の株価も動揺しながらも、一時的な高値更新とその後の大幅安の状況。

 それを外から眺めれば、表面的な右往左往とは別に底辺では、重い雲が立ち込め始めた兆候と解釈すべきだろう。FRBの緊急対策としての金融緩和を見透かすように、原油、金、小麦などが高騰を強めている。金融緩和で増強された投機マネーが原油相場などを乱舞させているのだ。それは世界的なインフレ、バブルの発生を予感させる危険な兆候である。

 インフレ懸念が強まっても、FRBは当面、金融引き締めに転じることができないと投機筋が見越しており、原油価格は間もなくバレル100ドルという空前の高値に到達するとの予測もある。それが燃料代、運賃などのコスト上昇を通じて世界経済に痛手を与えるのは周知のことだ。

 穀物の高騰は世界の食料事情の悪化を招き、特に発展途上国の貧困層の生活を直撃し始めた。世界は明らかにサブプライム問題を発端に危険な兆候を強めている。日本の永田町、霞が関はそうした危険な兆候を察知しているふうには見えない。

(社会新報2007年11月14日号より)


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