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異例の混乱吸収策 -米国の共同基金設立-

 やはりバブル崩壊当時の日本に対するアドバイスとは違う。米国自身の信用不安になると、市場原理に任せてはいない。それが今回の米国のサブプライム混乱収拾策である。

 米政府は大手銀行に約1000億j(約11兆7000億円)もの共同基金を創設させて、市場の混乱を収拾させようとの方針だ。

  日本の金融市場に不良債権が発生した時、欧米は市場原理のルールに従って、たとえどんなに不良債権の規模が大きくとも、それを処理すべきだとアドバイスしてきた。今回の共同基金の創設は、当時のアドバイスとは考え方が全く違う。

 日本には市場原理を強要し、自分たちは、いざとなれば異例の救済策を打ち出す。実は、これが欧米流なのである。

  彼らは決して親身になって日本のことを心配し、アドバイスしたのではない。あくまで自分たちの利益を考え、そのためのアドバイスを行なったにすぎなかった。

  日本の住宅金融専門会社の不良債権問題が深刻化し、当時の大蔵省は6850億円の税金を投入して、これを処理する法案を1996年に成立させたが、米国は政府、金融界がそろって不良債権を一度に吐き出して処理しろと、口をそろえた。

  そして、その混乱の中で北海道拓殖銀行、日本長期信用銀行、日本債券信用銀行などが次々と経営破たんした。そして破たん後の長銀などは、米国の投資銀行に超安値で買い取られた。東証の平均株価は7600円まで低下。みずほ銀行などは額面すれすれの超安値となった。この超安値の日本株を大量に買ったのが米国の海外投資機関である。

 日本が金融危機を脱してみると、米国は絶好の「買い場」を享受していた。

 時は移り、今度は米国でサブプライム問題が発生した。日本の住宅金融専門会社問題と類似の米国における不良債権問題である。米国はこの危機に対して市場原理に任せてはいない。日本と同じような救済策を講じようとしている。ただ、その違いは中途半端な小出しの金額ではなく、けた違いの額を最初から準備している。

 彼らは、決して海外投資家の餌食になるような対策は打たない。アドバイスにも振り回されない。米国のアドバイスに振り回され、対日投資の餌食になった日本とは違う。反省すべき事だ。

(社会新報2007年10月24日号より)


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