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住宅着工急減は国土交通省の責任 -原因は腐敗官僚の天下り-

 おかしな現象が表面化している。
 原因は建設官僚の腐敗にあるのだが、景気に与える影響も深刻だ。

 8月の住宅着工戸数が前年同月比で43%も急減した。住宅だけではない。産業界や公共の建設投資もである。原因は需要が落ち込んだのではない。姉歯耐震偽装事件の影響で6月21日から建築基準法が改正施行され、建築確認の審査が厳格化され、建築許可が大幅に遅れているためだ。

 建設業界は悲鳴を上げ、産業界も建設計画が狂ってしまうと頭を抱えている。国土交通省以外の各官庁も当惑している。この分では景気も失速しかねない。

 事態を深刻に受け止めている日本建築士事務所協会は緊急措置として審査の厳格化を一時的に緩和するよう要望したが、国土交通省は取り合わない。ずさん審査に逆戻りと非難されるのが怖いのだ。ところが、関係者の間では、この審査大渋滞は当面収まらないと悲観的。理由は明白。審査機関の審査能力が決定的に低いのである。

 なぜそんなことになったのかと言えば、建築確認の審査はもともと地方自治体が実質的にチェックなし状態だった。そして審査機関を民営化した際には、大量の元建設官僚を天下りさせ、審査機関を能力のない元官僚の幹部、職員であふれさせた。審査機関の中には全職員20人で、天下りが15人、審査能力のある建築士は2人というひどい例もあった。

 この結果、建築確認の審査は事実上、ノーチェックで審査していた。このずさんさに目を付けたのが姉歯建築士である。耐震偽装事件は起こるべくして発生した事件。姉歯は建築審査体制の腐敗構造に「造反」したにすぎなかった。

 ところが姉歯事件は個人の犯罪ということで処理され、再発防止のために法改正が施行された。結果はすでに述べた通り、建築審査の大渋滞である。この影響で住宅着工も建物の設備投資も急ブレーキ。

 問題は審査能力もない官僚を天下りさせ、ずさんな建築確認審査体制を敷いていながら、耐震偽装事件が起きても原因究明を「偽装」して天下り体制を維持している国土交通省の体質にある。まさに腐敗官僚がこの国の経済をむしばんでいる構図の典型例だ。

(社会新報2007年10月10日号より)


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