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日米貿易協議 世界経済の展望含め国会で議論を

 トランプ米大統領は5月30日、「不法移民」を理由にメキシコに追加関税を課す方針を示した。トランプ氏は同17日、カナダ、メキシコ両国への鉄鋼・アルミ追加関税の撤廃合意を発表、NAFTA(北米自由貿易協定)に代わる新協定批准への道が開かれたとの観測が流れたばかりだった。

 そのトランプ氏は同27日の日米首脳会談後で、日米貿易交渉について「おそらく8月に両国にとって素晴らしいことが発表されると思う」と語り、会談後の記者会見では「TPP(環太平洋経済連携協定)なんて関係ない」と言い放った。前日26日にはツイッターで「多く(の成果)は7月の選挙後に待つ」と投稿。これを受け、TPPの水準を超える農産物関税の引き下げ、さらには「安全保障」を名目に日欧から輸入車に課す高関税を先送りする代わりに対米輸出制限を行なうこと、あるいは通貨安誘導認定国に対する「相殺関税」の扱いなどについて、何らかの密約が結ばれたのではないかとの疑いが広がっている。何せ安倍首相は会見でも横須賀の基地訪問でも、トランプ氏から「同盟国の中で最大」のステルス戦闘機F35の105機調達を賞賛されたのだから。

 3月の今年度予算案の通過と成立以降、衆参の予算委員会が開かれないという異常事態が続いている。首相は密約説を言下に否定するだけでなく、きちんと説明責任を果たすべきだ。

 トランプ氏は6月に入ってからの訪英で、英国のEU(欧州連合)強硬離脱を公然と促した。ところが、会談相手のメイ英首相が5月24日に辞意表明済みなのは周知のこと。EU離脱問題は、唯一の陸の国境線であるアイルランドと英領北アイルランドの国境の開放を維持し、事実上英国がEU関税同盟にとどまるという矛盾した「いいとこ取り」の方針をめぐり紛糾し、EUと合意した離脱協定案は英議会から3回連続否決され、政治的に完全に行き詰まっているのが実情だ。

 ここへ来て「合意なき離脱」を助言することの真意を疑うしかないという状況だが、さらに痛感せざるを得ないのは、かつての金本位制から現在の管理通貨制(変動相場制)へと至る間、グローバル資本主義経済の基軸を担った英米両国の今の姿だ。米中対立の激化もあり、サプライチェーンの寸断、経済ブロック化の懸念は現実のものとなっている。日本は米国の用意する踏み絵を踏み続けるだけなのか。国会で語るべきだ。

(社会新報2019年6月12日号・主張より)


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