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辺野古土砂投入 法治国家・地方自治が壊されていく

 辺野古への土砂投入を見届けると、岩屋防衛相は15日、新基地建設について「日米同盟のためではない。日本国民のためだ」と言い放った。国家・国民対沖縄県・県民という対立図式をつくり上げ、沖縄県民の「国民」からの排除を宣言したのだ。同じころ玉城知事は何と言っていたか。「数々の違法な行為を行ない、法をねじ曲げ、民意をないがしろにし、県の頭越しに工事を進めることは、法治国家、そして国民に主権があるとする民主主義国家において決してあってはならないこと」と問題の本質を言い当てた上で、「国が地方の声を無視し、法をねじ曲げてでも国策を強行するやり方は、地方自治を破壊する行為であり、本県のみならず、他の国民にも降りかかってくるものと危惧している」と述べていた。

 また防衛相は14日、13年の日米合意で「22年度またはその後」としていた普天間基地の22年度の返還は困難とし、その責任を県の辺野古新基地反対の姿勢に押しつけた。菅官房長官も同日、「全力で埋め立てを進めていく」とする一方、政府が約束した19年2月までの普天間運用停止について「実現するのは難しい状況」と切り捨てた。「普天間の危険性除去が原点」ではなかったのか。知事が「現時点ではまだ埋め立て工事全体の一部がなされているにすぎず、また、工事の権限のない者によって違法に投入された土砂は、当然に原状回復されなければならない」と指摘するように、「普天間固定化」と並行して進められる無意味な工事は直ちに中止すべきだ。

 土砂投入に先立ち、5日に県が岩礁破砕行為差し止めを求めた裁判の控訴審判決があったが、注目度が高かったとは言えない。しかし、福岡高裁那覇支部が一審の「門前払い」判決を支持する判決を出したことの意味は大きい。たとえ漁協が漁業権の一部放棄を議決したとしても、これは漁業権の変更に当たり、漁業権は設定されており県の岩礁破砕許可更新が必要だ、しかも、これこそ政府の漁業法解釈だったはずだとの県の主張に対して、司法としての判断を示すことを二度にわたって拒んだのだ。まさに知事が同日のコメントで言うように「岩礁破砕等許可の要否については何ら判示されておらず、国の主張を認めたものでも、県の主張を否定したものでもない」。法治国家、三権分立の危機はこの司法の姿勢に端的に表れている。これこそ辺野古問題の根深さだ。

(社会新報2018年12月26日号・主張より)


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