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女性差別入試 根本にある「医師の働き方」の問題

 文部科学省前科学技術・学術政策局長の子どもの東京医科大への裏口入学事件は、この件に介在したコンサル会社元役員の線を通じて文科省前国際統括官の接待汚職事件につながっただけでなく、とんでもない問題を明るみに出した。医学部入試の女性差別問題だ。

 対策弁護団では得点開示や受験料返還、損害賠償請求などに取り組むという。当然だ。前局長の受託収賄容疑事件の背景には「私立大学研究ブランディング事業」に基づく補助金交付があるのに加え、医大前理事長らは不正合格の謝礼まで受け取っていたのに、女性受験生は受験料を払った上で門前払いされたのだ。

 文科省は4日、医学部医学科がある全国81大学を調査した結果、男性の合格率が女性の約1・2倍との中間報告を発表した。しかし、幹部が汚職の当事者となった同省だけの調査で大丈夫なのか。さらに、今回の女性排除は一律減点という客観的に明らかな手法をとっているが、証明が困難なやり方をしている大学がありそうなのは、同省調査からも推測できる。そのため、今後の合格率等の公表義務付けは間違いなく必要だ。

 18年度の同大入試の女性比率は、受験生39%に対し合格者18%。この露骨な格差を正当化してきたのが、女性医師の「結婚・出産による離職リスク」とされる。その意味では、性別以外の事由による措置であっても、(家族的責任を負うため転勤できないことなどをもって)一方の性に対して不利益となる措置を講ずることを禁じた改正雇用機会均等法7条「間接差別禁止」の考え方は、問題の背景を考える上で参考になる。また性別であれ他の要因によるものであれ、医療現場に差別があることは医療の質に悪い影響を及ぼす。

 端的に言えば、人口当たり医師数がOECD加盟35ヵ国中30位との数値に象徴される絶対的医師不足が問題の根幹にあることから目を背けてはならず、これを地域的偏在という相対的問題にずらすべきではない。「女子の方が勉強が得意」という新たな思い込みの流布や論点ずらしも同断だ。

 今回の問題で、「女性総活躍」やら「働き方改革」が底の浅さを露呈した。国会の参考人陳述で有名コンサル会社の女性社長は、残業をする者に「恥ずかしいマント」を着せることで残業時間削減と利益増、出産数増などを実現したと喜々として実例紹介した。この手の改革では医師を目指す女性差別はなくならない。

(社会新報2018年9月12日号・主張より)


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