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非核化と日本 「北朝鮮非核化」にわい小化するな

 6日に広島市を訪れた安倍首相は記者会見で、核兵器禁止条約について「アプローチを異にしているから」(すなわち米国の「核の傘」の抑止力を損なうことになるから)、「わが国としては参加しない」とあらためて明言、併せて、日朝関係について「最後は私自身が金正恩委員長と対話し、核・ミサイル、何よりも大事な拉致問題を解決」すると語った。河野外相は訪問先のシンガポールで、北朝鮮の李容浩外相と接触した後、4日にポンペオ米国務長官と会談し、「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)を目指す方針を再確認したという。

 これらの経過は、日本政府の考える「非核化」とは何かということ、はっきり言えばその限界を如実に示している。一言で言えば非核化を「北朝鮮の非核化」に切り縮めているのだ。

 少しさかのぼってみよう。4・27板門店宣言で南北首脳は、朝鮮戦争停戦協定の平和協定への転換、朝鮮半島の完全な非核化という共同目標で合意した。もちろん、これらは南北だけで成し遂げることはできないが、続く6・12米朝共同声明で両首脳は板門店宣言を再確認し、米国は北朝鮮の安全を保証し、北朝鮮は朝鮮半島の完全非核化に向けて努力することを約束した。

 朝鮮戦争終戦や非核化の行程が明文化されていないこと、また米トランプ政権の朝令暮改的な不安定性から、前途を危ぶむ声がある。だが、だからこそ、「約束対約束、行動対行動」の原則をうたった6ヵ国協議の枠組みの再登板や、非核兵器地帯条約という国際法の縛りの必要性が指摘されるのは必然と言える。

 CVIDという目標を掲げるのはある意味当然だ。しかし、90年代の米朝枠組み合意や00年代の6ヵ国合意が核計画申告の検証などをめぐって行き詰まった背景に米朝間の相互不信があったことは、客観的に明らかだろう。今回もそれが繰り返される恐れは十分ある。他国に認められている行動が安保理決議の縛りで北朝鮮には禁じられていることが北朝鮮の不満の源であったし、状況を不安定、複雑にしていると、平和団体「ピースデポ」などは指摘してきた。では、仮に事態を逆流させる問題が生じたとき、日本政府はどうするのか。「それ見たことか」と北朝鮮を一方的に非難して事足れりとするのであれば、過去の失敗を「失敗」として反省せず、むしろ本音では失敗を望んでいたということになるだろう。

(社会新報2018年8月22日号・主張より)


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